統計調査の効率化の理論と応用

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09630029
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Waseda University
• Principal Investigator: 西郷 浩 早稲田大学, 政治経済学部, 助教授 (00205626)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 勝浦 正樹 名城大学, 商学部, 助教授 (70224467) ; 大平 純彦 静岡県立大学, 経営情報学部, 助教授 (20194285) ; 美添 泰人 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80062868) ; 廣松 毅 東京大学, 大学院・総合文化研究科・教養学部, 教授 (80012491)
• Keywords: 経済統計 / サービス産業 / 実査 / 官庁統計 / 民間統計 / 表章 / データ・リンケージ / 調査環境

Research Abstract

1.今年度の研究成果
標記テーマに関して、3時間程度の研究会(名称:経済統計研究会)を定期的に9回開催し、官庁統計の作成サイドおよび民間等の利用サイド等から講師を毎回招いて、それをもとに討論した。とくに、今年度は「経済統計とサービス産業」を副テーマとし、この分野における統計調査の効率化を議論した。討論の対象となった諸点は:(1)サービス産業全体に対する統計の捕捉範囲は必ずしも広くない。たとえば、人材派遣業に関しては、行政記録を集計した、いわゆる業務統計しかなく、官庁レヴェルでの調査統計はない;(2)複数の調査を機能的に結び付けるには集計表(マクロ・データ)だけでは困難である。たとえば、特定サービス産業実態調査にあわせて、アクティヴィティ・ベースでサービス業基本調査を利用するには、そのミクロ・データを再集計する必要がある;(3)信頼性の高いキ-変数があれば、既存の調査票や業務統計をりようして、パネル・データを作成できることもある。医療関係の領域では、患者登録システムを援用して、住所・生年月日・氏名などをキ-変数として全国規模のパネル・データの作成が試みられている。原理的には経済統計にも応用可能である。しかし、後者の場合には、統計法が障壁になるおそれもある;(4)事業所・企業・世帯・個人の格付が、分析の目的と必ずしも一致しないために、既存の表章では分析が不可能なことがらが多くなってきた。
2.今後の研究の方向
副テーマ「サービス産業と経済統計」に関しては、今年度でひとまず終了する。来年度の副テーマ等は未定ながら、官庁統計の作成サイド等および民間等の利用サイド等から講師を招いて討論するという形式の経済統計研究会は標記テーマの研究に不可欠の活動である。今後も、この研究会を主軸に研究を進める。

Research Products

• [Publications] 西郷 浩: "確率比例非復元抽出における有限母集団修正" 早稲田政治経済学雑誌. 331号. 194-222 (1997)
• [Publications] 西郷 浩: "無回答処理へのリサンプリング法の応用" 早稲田政治経済学雑誌. 332号. 160-195 (1997)
• [Publications] 西郷 浩: "無回答を補完した調査データにもとづくノンパラメトリックなブートストラップ区間推定" 早稲田政治経済学雑誌. 333号. 215-247 (1998)
• [Publications] 廣松 毅 他4名: "情報技術と付加価値生産性:成長会計を用いた情報装備の効果に関する定量分析" 情報通信学会 平成9年度 年報. (印刷中). (1998)
• [Publications] 美添 泰人: "複数の標本調査の同時実施について" 青山経済論集. 49巻1号. 33-65 (1997)
• [Publications] 美添 泰人: "全国物価統計調査と価格の変動" 統計. 48巻9号. 20-24 (1997)
• [Publications] 美添 泰人: "季節調整の経済時系列への適用について" 統計. 48巻10号. 1-7 (1997)
• [Publications] Yoshizoe,Y. et al.: "On approximately optional sampling design for Commercial Statistial Survey" Bulletin of ISI, contributed paper. 613-614 (1997)
• [Publications] 美添泰人・荒木万寿夫: "家計の消費と資産の構造分析" 青山経済論集. 49巻2号. 31-60 (1997)
• [Publications] 美添泰人・荒木万寿夫: "電気機械産業における研究開発支出の分析" 青山経済論集. 49巻3号. 57-76 (1997)
• [Publications] 美添泰人・細倉昌子: "産業分類へのクラスター分析の適用" 青山経済論集. 49巻4号(印刷中). (1998)
• [Publications] 勝浦 正樹: "時系列主成分分析における構造変化の検定" 名城商学. 47巻3号. 15-38 (1997)
• [Publications] 大平 純彦: "県作成の地域統計の現状と課題(1)" ESTRELA. 39号. 50-56 (1997)
• [Publications] 大平 純彦: "県作成の地域統計の現状と課題(2)" ESTRELA. 40号. 57-63 (1997)
• [Publications] 大平 純彦: "県作成の地域統計の現状と課題(3)" ESTRELA. 41号. 43-51 (1997)
• [Publications] 大平 純彦: "県作成の地域統計の現状と課題(4)" ESTRELA. 42号. 52-57 (1997)
• [Publications] 大平 純彦: "県作成の地域統計の現状と課題(5)" ESTRELA. 44号. 50-55 (1997)
• [Publications] 大平 純彦: "県作成の地域統計の現状と課題(6)" ESTRELA. 45号. 61-65 (1997)
• [Publications] 大平 純彦: "県作成の地域統計の現状と課題(7)" ESTRELA. 46号. 52-57 (1998)
• [Publications] 大平 純彦: "県作成の地域統計の現状と課題(8)" ESTRELA. 47号. 62-66 (1998)
• [Publications] 大平 純彦 他2名: "平成2年度都道府県産業連関表の評価と分析" 産業連関. 7巻3号. 36-48 (1997)
• [Publications] 大平 純彦 他2名: "県経済におけるフードシステム:平成2年度都道府県産業連関表の評価と分析(2)" 産業連関. 7巻4号. 41-51 (1997)
• [Publications] 大平 純彦 他2名: "産業廃棄物の産業連関分析" 産業連関. 8巻2号(掲載予定). (1998)
• [Publications] 廣松 毅・R.ドーンブッシュ・S.フィッシャー: "マクロ経済学(上)" CAP出版, 400 (1998)
• [Publications] W・H・ダットン(廣松毅 監訳): "情報通信テクノロジー 1〜4" 富士通ブックス, 565 (1998)