1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09630044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今井 晴雄 京都大学, 経済研究所, 教授 (10144396)
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Keywords | 研究開発 / ライセンス / 交渉問題 / 不完備情報 |
Research Abstract |
本研究では、先発企業と後発企業との間での技術供与交渉問題において、研究開発投資がもたらす効果の検証を通じて、情報の役割、ならびに、特許制度の効果を解明することを目的としている。それともに、交渉ゲーム理論の応用において必要な、理論的ツールの開発と整備をも副次的目的としている。 これまでの主たる研究成果は、論文"On the Threat Effect of R&D"にまとめた。そこでは、交渉する企業の問題に対する認識において、交渉問題の時間的な長期性が認められ、かつ、交渉する企業が全体として、十分に複雑な戦略を含む均衡に到達しうるという前提の下での、効率改善の可能性が示される。この結果は、繰り返しゲームの理論の結果とパラレルなものであるが、戦略的交渉ゲーム理論において、このような結果自体が生じるような設定がなかったため、知られていなかったものである。上述の結果を導くための構成要件の一つに、後発企業が交渉力を有するという条件がある。先行する研究結果との比較の上では、多数の潜在的参入企業の存在によって各個が交渉力を欠く状態と、一つの交渉力を有する参入企業が存在するケースとの対比を行う必要に迫られる。この観点からは、事前の段階での、研究開発能力の取得という選択の重要性が認められ、このような段階を含んだ動学的設定の分析への準備を進めている。 不確実な観察に基づくケースについての分析については、他分野での関連分析結果との比較を行い、また、関連する理論面では、交渉分析の多人数のケースへの拡張、あるいは、限定合理性に基づく産業組織分析を試みている。
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[Publications] Haruo Imai: "On the Threat Effect of R&D" CCESワーキングペーパー. A-56. 0-25 (1999)
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[Publications] Haruo Imai: "Representative Nash Bargaining Solution for Two-Sided Bargaining Problems" CRESTワーキングペーパー. 27. 0-20 (1998)