1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09630055
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
秋葉 弘哉 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (60138576)
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Keywords | 商品先物市場 / 期待 / 現物価格 / 先物価格 |
Research Abstract |
商品先物市場での現物及び先物価格の決定において、期待が果たす役割について解明致したいと考えて科学研究費を申請致し、1997-1998年度と2年度に亘り研究を継続した。 商品先物市場は、個別商品の性質、特徴、取引習慣などによって多様である。そのため、分析モデルに関しても、いわゆる一般的なモデルは存在しないように思われた.そこで、現実的で、なおかつ一般的なモデルを構築してみたいと考えた。期待の役割を明示的に示すために、商品先物市場へ参加する主体をその機能によって(1)ヘッジャー、(2)投機家、(3)在庫保有者、(4)消費者は分類し、次いで前二者による商品先物の需要表と供給表を定式化した。さらに、在庫需要表及び消費需要表もなるべく簡単な形で定式化を試みた。消費需要表以外は、一般に先物及び現物価格の将来の期待値、あるいは期待将来現物価格と現行先物価格の格差にも依存するものであるとして、期待の役割を強調するような定式化を試みた。定式化に際しては、モデルを解くことが主目的なので、需給表は全て線形近似して定式化した。 さらに先物及びストックに関する2本の市場需給均衡式を課することによって、所与の価格期待の下での均衡先物価格と均衡現物価格の半誘導形を導出した.このような単純なモデルでも、半誘導形の外生変数の係数の符号は、厳しい仮定の下でしか決定できないことが解った。いくつかのさらに厳しい仮定の下で、期待の需給に及ぼすルートと、その方向について、ある程度のことが明確になった。 基本的には本来動学的モデルで決定されるべき現物及び先物価格であるので、これまでの研究を通じてわかったことは、モデル自体を動学モデルで定式化し直す必要があるかも知れないということ、そして、その場合には効用関数からの最適化が求められるかも知れないということになりそうである、ということであった。
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