1997 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルポリシ-とジェンダーに関する実証研究-労働力の女性化の進展を中心に-
Project/Area Number |
09630062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
深澤 和子 阪南大学, 経済学部, 教授 (30148572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 悦子 福島大学, 行政社会学部, 教授 (30217244)
木本 喜美子 一橋大学, 社会学部, 教授 (50127651)
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Keywords | 労働力人口のフェミニゼーション / 性別職務分離 / 年齢別労働力化率 / M字型雇用 / 応用におけるジェンダー関係 |
Research Abstract |
本研究は、わが国における労働力人口のフェミニゼーションの特色および労働の場でのジェンダー関係の日本的特色を実態調査を通して明らかにすることを課題としているが、初年度(1997年度)は、実態調査のために必要とされる共通の分析視角を構築するためにとりわけ以下の点に焦点をあてて、先進諸国との比較を行いながら、また外部講師の報告も参考にしながら研究を進めた。すなわち、課題の第一は、日本の労働力人口のフェミニゼーションにおいて、年齢別労働力化率が90年代に入って以降もなおいわゆるM字型から脱却し得ていない(先進国の中で日本と同様であったイギリスは、ついに1990年代に入ってM字型を脱却した-Sylvia WalbyによるGender Transformations 1997参照)現実の背後にある家族イデオロギー、社会的施策、そして何よりも企業のビヘイビアの特色を徹底的に浮き彫りにすることであり、第二に、雇用の場において従来のジェンダー関係を変容させる契機となりうるはずの男女雇用機会均等法や育児休暇法などの新たなソーシャル・ポリシ-の導入や高等教育への女性の大量の進出などという社会的諸条件の変化にもかかわらず、性別職務分離や男女の賃金格差などいわゆるジェンダー不平等が依然として再生産される基本的要因を析出すること、であった。この1年間の研究を通して確認したことは、欧米先進諸国がソーシャル・ポリシ-や女性に対する高等教育の普及などを媒介として、雇用の場における従来のジェンダー関係を長期的には変更させ(最も、女性の間での年齢やエスニシティの差異などによる階層化という新たな問題も指摘しておかなければならないが)、労働のパターンが男女間で近づきつつあるのに対して、それとは異なる日本の状況の分析は、何よりも、企業がジェンダー関係の構築をどのように展開しているかを具体的に明らかにすることであり、次年度はこの点から実態調査に着手する。
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