1999 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルポリシーとジェンダーに関する実証研究-労働力の女性化の進展を中心に-
Project/Area Number |
09630062
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Research Institution | HANNAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
深澤 和子 阪南大学, 経済学部, 教授 (30148572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 悦子 福島大学, 行政社会学部, 教授 (30217244)
木本 喜美子 一橋大学, 社会学部, 教授 (50127651)
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Keywords | 労働力の女性化 / M字型就業率カーブ / ソーシヤル・ポリシー / 男女間就職分離 / 伝統職への女性の進出 / アファーマティプ・アクション / 労働におけるジュンダー |
Research Abstract |
本研究は、日本における労働力の女性化の進展が、ソーシャル・ポリシーとどのような関連を有し、どのように女性労働を構築してきているかを整理した上で、実証的にそのジェンダー的特質を見ることを課題としている。 周知のように、欧米先進諸国は、男性労働との差異を「一言」で表現しうる女性労働の特色であるM字型就労形態を、70年代後半から90年代前半までに脱却してきているのに対し、日本はM字型の底が20歳代後半から30歳代前半に移動しつつも依然としてM字型から脱却していない。その理由をすでにそこからの脱却を終えた前述の欧米先進諸国との対比で見てみれば、(1)雇用者としての国家、(2)発注者としての国家、(3)反差別立法制定者としての国家、(4)女性の労働願望に対する支援者としての国家において、歴然とした差異を指摘することができる。とりわけ、ソーシャル・ポリシーとの関連で見れば、市場を重視したアメリカやカナダが採用し効果をあげている(2)の具体的形態としてのアファーマティヴ・アクションや(4)の具体的施策の中心をなす保育・介護などへの積極的支援策において企業を奨励しうる力を発揮していないことに日本的特色を見いだしうる。 とはいえ、日本でも農業労働までも含めて確実に女性労働の有り様は変化してきている。とりわけ、男女雇用機会均等法の影響は大きく、これまで伝統的に男性職とされてきた建設労働や印刷労働などへの進出、従来女性職であった,事務職やサービス職での女性労働の位地づけの変化ば著しい。しかし、労働現場までおりて実態を見れば、男女間への労働配分が同じ原理でなされているわけではなく、労働の男女間分離が新たに構築されていることがわかるし、そのことがM字型を脱却できない理由の一つともなっている。その意味で、労働の場における女性労働と男性労働双方のあり方に影響を与えうるソーシヤル・ポリシーが求められるのである。
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Research Products
(1 results)