1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09630073
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中村 尚史 埼玉大学, 経済学部, 助教授 (60262086)
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Keywords | 鉄道業 / 技術者 / 近代日本 / 帝国鉄道協会 / 土木技術者 / 鉄道運行 / 鉄道建設 / 技術形成 |
Research Abstract |
本研究の課題は、創業から鉄道国有化にいたる日本鉄道業の形成・展開過程を、従来、必ずしも技術史研究の対象となってこなかった経営的技術をも視野に入れ、技術者(技能者)の養成・集積・組織化という視角から見直すことにある。 4カ年計画の第2年度である本年度は、前年度に引き続き技術者の学歴・履歴調査を集中的に行った。まず7月から9月にかけて国立公文書館をはじめとする各地の文書館をまわり、鉄道技術者の関係史料を調査した。その結果、大阪府三田市で明治初期の鉄道土木技術者の史料を発掘したのをはじめ、いくつかの成果が挙がった。 またその過程で、多くの鉄道運輸関係文献も発見し、今後の鉄道運行技術研究の手がかりを得た。さらにこの間、8月にはこれまでの研究のうち、鉄道創業から日清戦争前までの部分を総括し、『日本鉄道業の形成ー1869-1894年ー』(研究業績欄参照)という単著を刊行した。この本の主要な論点の一つが本研究が主題としている技術者形成の問題である。なお日清戦争以後に関しては8月(「鉄道技術者集団の形成と鉄道請負業」経営史学会関西部会大会)と11月(「北部九州地域における鉄道敷設と物流構造」鉄道史学会大会)の二度にわたり学会報告を、また12月にはセミナー(近代史研究会)での報告を行った。ちなみに11月の報告は、その後、鉄道運輸に関する追加調査を行った上で、現在、文章化しつつある。 一方、本年度のもう一つの主題であった技術者データ・ベースの作成については、現在、帝国鉄道協会の会員名簿の累年入力により、鉄道技術者の移動を把握しようとしている。この作業を継続することにより、1900年代における鉄道業関係者の移動状況と、一種の社会集団としての帝国鉄道協会の性格が明らかになるはずである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中村尚史: "日本における鉄道運行システムの移転と官営鉄道" MUSEUM KYUSHU. 59. 36-41 (1998)
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[Publications] 中村尚史: "日本鉄道業の形成" 日本経済評論社, 394 (1998)