1998 Fiscal Year Annual Research Report
戦前日本における失業者・不完全就業者の諸類型と失業統計の対応関係
Project/Area Number |
09630074
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加瀬 和俊 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20092588)
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Keywords | 失業者 / 職業紹介所 / 社会局 / 労働市場 / 新規学卒者 / 労働統計実地調査 / 国勢調査 / コーホート分析 |
Research Abstract |
平成9年度における研究実績を受けて、平成10年度においては以下の作業を実施した。 (1) 『職業紹介年報』に記載されている職業紹介所の求職者統計と各種の「失業統計」の関連について分析を進め、実地調査がなされなかった各種の失業統計の作成に際しては、職業紹介所に集積された情報が用いられた事実を確認し、職業紹介所に集積された情報の偏り(職業紹介所の設置の地域的疎密、失業者中で職業紹介所で求職活動をする者の階層別の多少等に由来する)が、「失業統計」にも影響していることを推定した。 (2) 各レベルの学校からの新規学卒者の就職関係統計等を整理して、不況期においては、低学歴者は就業先を不安定就業層にまで広げることによって失業の増加を回避しているのに対して、高学歴者は対応する職種を広げずに失業者化していること等を含めて、労働市場と学校教育との関連について分析を進めた。 (3) 失業者の構成の時系列的変化を就業者の構成の時系列的変化と対比させて明らかにした。特に、1930年代の景気好転期における失業者の吸収プロセスの実態については、統計的に確認できるいくつかの大都市について、『労働統計実地調査』の年令別の就業者数の推移をコーホート分析の手法によって解析し、全産業的に若年者の雇用が増加している中で、産業種類別に新規採用者の上限年令階層が異なることを明らかにし、その背景事情と影響について考察した。
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