1997 Fiscal Year Annual Research Report
近世日本社会における金貨の発行・流通に関する実証的研究
Project/Area Number |
09630076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 章 東京大学, 史料編さん所, 助手 (10208704)
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Keywords | 貨幣史 / 計量史 / 金貨 / 大判 / 分銅 / 大判座 / 分銅座 / 後藤四郎兵衛家 |
Research Abstract |
平成9年度の本研究では、日本近世貨幣史に関わる基礎的史料、なかんずく大判座後藤四郎兵衛家に関わる史料の収集・整理・解読・分析を中心に行った。すでに本研究の準備段階において整理を終えていた大判座後藤家本(東京大学史料編纂所所蔵)の目録データベースを構築する目的で、入力のもととなる史料カードの整理を行い、同時に、歴史資料のデータベースをしていかなる検索システムがふさわしいのかを、コンピュータ・システム工学の立場からも検討した。また、予定外ながら、大判座後藤四郎兵衛家のご子孫が、本研究のためにご所蔵の資料(古文書・古記録をはじめとして肖像画・刀装具などの物品類を含む)を史料編纂所に対して寄託されたので、急遽その整理に着手し、古文書・古記録類の解読を進めて目録カードを作成した。さらに、東京大学文学部考古学研究室が所蔵する古分銅・大判座刻印・試金石などの物品類を借用して、それらの整理を行った。その過程において、上記物品類のなかに、従来の研究においては存在しないとされてきた「基準分銅」が含まれていることが判明したので、次年度に理学・工学関係者の協力によってそれらの正確な質量や材質を測定・分析するための手配を行った。なお、本年度の研究成果の一部は、平成9年11月に開催された第20回計量史をさぐる会(日本計量史学会・日本計測自動制御学会)において「後藤四郎兵衛家の分銅家業」と題して報告したのをはじめ、同年12月には東京大学創立120周年記念事業第4部知の開放(CS放送パ-フェクTVおよびインターネット放送)の一環として「大判をつくった人々-大判座後藤家文書」(20分番組)を製作した。また、本研究で得た知見をもとに、千葉県立関宿城博物館主催の企画展「金は天下のまわりもの」(平成10年1月15日〜3月1日開催)の準備に協力し、かつ、同博物館の依頼により展示の講評を行った。
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Research Products
(1 results)