1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09630078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉原 薫 大阪大学, 経済学部, 教授 (60117950)
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Keywords | 綿業 / アジア / 貿易 / 国際関係 |
Research Abstract |
平成9年度7月15-16日にマンチェスターで開かれた国際会議で、本研究の構想を発表し、数人の研究者(とくにProfessor Douglous Farnie)から有益なコメントを受けた。4-6月に日本で行った入力と7-9月に主としてロンドンで追加した資料の加工作業の成果は、「戦後日本綿業をめぐる国際環境-アジア間競争復活の構造-」として、11月に日本語で発表した。その後さらにこれを改稿して、英文で発表する準備を進めている。また来年度には期間を1970年頃まで延長して、作業を続ける予定である。 発表した論文の主な主張は、戦後日本綿業が急速に復活し、1960年まで再び世界最大の輸出国になった国際的背景として、これまで指摘されてきた冷戦下の有利な国際環境、アメリカの棉花輸出利害との補完性などに加えて、インド、中国、香港、パキスタンなどとの激しいアジア間競争に促された技術革新と市場の開拓があったこと、アジアの綿業の発達・輸入代替によるアジア市場の収縮と、欧米市場の保護主義化の中で、日本の輸出は品質と輸出先をめまぐるしく変化させながら発展したが、その過程で香港などとの競争的協調関係の形成が重要な役割を演じたことなどである。実証的には、コットン・ボードのデータを徹底的に検討することによって、綿織物輸出量のデータについて従来よりも正確な理解を示すことができたと考える。 ただ日本の政策の果たした役割については、十分な考察ができなかった。今後日本の資料をより深く吟味することで、突破口を見つけたいと考えている。
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