1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09630093
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 慎 大阪大学, 経済学部, 教授 (70093565)
|
Keywords | 地方分権 / 地方交付税 / 財政責任 / 財源保障 |
Research Abstract |
地方政府の財政責任の観点から、地方交付税制度について研究を行った。地方交付税は日本の政府間関係において、国から地方への移転として重要な役割を果たすものであり、諸外国に例を見ないほどの大規模な移転が現実に行われていることを明らかにした。この制度により、地方間の財源の均等化がかなりの程度達成されたが、一方では地方政府の財政責任を不明確にするという副作用も生じさせてきた。 地方政府の自立的な意志決定を重視すべき地方分権下においては、このような意味での財政責任の不明確さが現在よりもっと大きな問題となることは確実であり、地方間の最低限の財源配分を行いつつ、財政責任を地方政府に果たさせるために、地方交付税がどのように変わるべきかについても研究を行った。 研究結果から、以下に纏めるように、4つの観点からの改革が必要である。1.国庫補助負担金のみではなく、地方交付税の一部についても地方税に振り替えることが必要である。2.基準財政需要額については、算定の簡素化と決定プロセスの分かりやすさが必要であり、国が財源を保障すべき最低限の行政とそれ以外の行政を峻別することが必要である。3.財源保障する行政のコストを正しく評価するという前提の下で、留保財源を大幅に縮小すべきである。4.交付税のうちの財政調整部分については、財源不足額に比例しないような配分方式にすることが最低限必要であるし、地方で当該地方政府が責任を持って財源調達することのできるような地方税制上の自由度や、財源が調達できない際には行政を実施しないあるいは現在と異なった形で行政を行うことを選択できるような規制緩和も必要である。
|
Research Products
(1 results)