1997 Fiscal Year Annual Research Report
南米新興市場(エマージング・マーケット)の発展と米国金融機関の国際的活動
Project/Area Number |
09630096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川波 洋一 九州大学, 経済学部, 教授 (80150390)
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Keywords | 新興市場 / 商業銀行 / 投資銀行 |
Research Abstract |
本年度は、新興市場に関するデータ・文献・資料をできるだけ収集することが第1の目的であった。この点に関し、野村総合研究所、日本証券経済研究所等での資料収集、インターネット等の手段による南米証券取引所(ブラジル、アルゼンチン、ペル-等)からのデータ収集、また慶應義塾大学、北海道大学のスタッフへのインタビューを通じて、十分な分析素材を集積することができた。またフィナンシャル・タイムス、ウオール・ストリート・ジャーナル、アメリカン・バンカー等の新聞記事、その他雑誌記事の分析を通じて、最近の新興市場の動向を追跡することができた。現在のところ、これまでの研究において得られた知見と課題は次のようなものである。 (1)南米新興市場の発展は、米国商業銀行の過大な貸付競争の帰結としての累積債務、公的機関の民営化→エクイタイゼーションの結果生じてきたものである。したがって、90年代に入ってからの南米新興市場は、先進国の投機資金の流入によってマネーゲームに巻き込まれ、一面では活況を呈しつつも不安定な状況にある。 (2)90年代に入ってからは、とくに商業銀行機能のみではなく、米国の投資銀行や機関投資家の活動が重要性を増してきている。 (3)来年度からの分析の課題として重要だと思われるのは、北米、南米の金融システム、金融市場が相対的に安定しているのに対し、アジアの金融システム、金融市場が不安定化しているという対照的現象をどう組み込むかということである。今後、アメリカと南米市場という座標軸だけでなく、南米とアジアという座標軸も組み込んで分析を行いたい。
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