1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本と対比したNIES諸国の金融制度、金融市場および金融政策の研究
Project/Area Number |
09630101
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
平田 純一 立命館大学, 経済学部, 教授 (00143818)
|
Keywords | 日本 / 韓国 / 台湾 / 香港 / シンガポール / 金融制度 / 金融市場 / 金融政策 |
Research Abstract |
今年度は,研究の最終年度であるので,日本・韓国・台湾・香港・シンガポールに関するデータを最新のもの(1998年まで)に延長し,これまでに推定した,各国金融市場を既述する上での基本的な関数関係を再推定した.1998年が,アジア通貨危機の影響が最も強く出た年であるので,国によって影響の程度は異なるが,1996年や1997年までのデータを用いて分析した結果と比較すると大きな違いが発生している. こうした状況を勘案し,各国の金融市場特性の比較には,1996年までのデータを用いて推定した結果を用いて比較検討することが適当であると判断した.しかしながら,現在のアジアNIES各国の経済状況,金融環境を評価する上では,通貨危機の影響を無視することは適当ではないので,1997年以降に各国で発生した金融環境の変化を整理し,今後各国の金融市場の動向を検討する上で,本研究で行った,1996年までのデータによる比較分析がどの程度有効であるのかに関する評価も行った. 本研究の研究期間は,ちょうどアジアの通貨危機の発生,収束の過程と重なり,当初予定していた研究計画と,実際の分析作業とを必ずしも適切に結びつけることが困難であったことは,本研究の反省点である.しかしながら,アジア通貨危機の発生それ自身が,本研究を提起した際の問題意識である,今後のアジア諸国の経済活動を分析していく上で,金融現象に関する分析を避けて通ることができないということが結果的に現実の物になったとも言える.こうした経済環境の変化に対応すべく,現状分析を行い,データを更新しては分析を行うという作業を継続したので,研究成果に関しては現在科研費の報告書としてとりまとめ中であり,今後ここから論文の形で公表していく.
|