1997 Fiscal Year Annual Research Report
大手私鉄の市場戦略に関する実証的研究:グループ事業展開の論理とその成果
Project/Area Number |
09630104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
正司 健一 神戸大学, 経営学部, 助教授 (70127372)
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Keywords | 私鉄 / 多角化 / 都市交通 / 民営化 / 私鉄グループ / 鉄道経営 |
Research Abstract |
本研究の課題は,大手私鉄による事業展開戦略の実態とその有効性についての解明に焦点を当て,その市場戦略をより深いレベルで考察することにある。そもそも交通サービスの供給において「民」の役割をより重要視することは,世界的にも交通政策分野の重要なトレンドとなっており,当然,わが国の大手私鉄はひろく注目されている。しかしこのわが国の大手私鉄を,都市公共交通サービス供給なかでの正当に位置づけたうえでの,経済学的・経営学的研究の蓄積はけっして十分とは言いがたい。ここにわれわれの研究の意義はまさに存在する。世界的に見ても,市場環境が恵まれていない状況下にある鉄道の効率化政策論議に対して,さらには都市公共交通といったいとなった都市再生・創造戦略の構築にとって重要な示唆を与えることが期待される。 平成9年度の研究は,まず5月に英国リ-ズで行われた5th International Conference on Competition and Ownership in Land Passenger Transportにおいて,わが国都市型私鉄の多角化戦略についての都市交通政策上の意義について報告を行ったことが最初の大きな契機であった。そこで海外の研究者から受けた各種のコメント,さらにその後2ヶ月間の海外出張中に各専門家と議論を積み重ねることができたのは幸運であった。さらに,関西系5私鉄をまず中心として連結財務諸表で把握可能な範囲での事業展開(企業内兼業を含む)に関するデータベースの整備作業も鋭意行い,まだ完全ではないが,これをベースとした最初の分析成果は「大手私鉄の多角化戦略に関する若干の考察」(国民経済雑誌)としてすでに平成10年2月に公表済みである。 引き続き,平成10年度は当初の研究計画に沿った形で研究を進めながら,しかしその進展に応じて,必要な修正も併せて施しながら,初期の目的を達成する所存である。
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Research Products
(1 results)