1997 Fiscal Year Annual Research Report
事業部の資金管理と事業部貸借対照表の関係に関する実証研究
Project/Area Number |
09630127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小倉 昇 東北大学, 経済学部, 教授 (10145352)
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Keywords | 事業部制 / 業績管理会計 / 利益責任単位 |
Research Abstract |
管理会計の文献では、事業部制とは利益責任単位(profit center)のひとつの典型として扱われてきた。このことは事業部が、機能的にも期間的にも他の組織単位と独立性を持った組織であることを前提としていた。しかし、現実の事業部のあり方は時代の進展とともに多様性を増してきている。そのような事業部の権限責任関係の流動化に伴って、事業部の管理指標としての事業部利益の重要性が相対的に減少し、キャッシュフローの重要性が高まることを実証的に示そうとしたのがこの研究である。 まず第一に、事業部の責任範囲が1期間を超える場合に、事業部利益(より厳密には発生主義の基づく事業部期間利益)からキャッシュフローベースの評価指標に重要性が移行するべきことを示すために、EVA(Economic Value Added)やCRR(Cash Recovery Rate)、MVA(Market Value Added)などの評価指標を事業部業績の評価に適用することの利点と限界について研究を行った。この成果については、1998年11月に九州産業大学で開かれた管理会計学会フォーラムで発表した(論題「EVAの管理会計機能について」)。 第二に、事業部の機能面での責任・権限の範囲の流動化と業績評価指標の対応関係について、流動化が進んでいると思われる企業七社を対象に調査を行った。いずれの調査対象にも事業部間の機能分化の現象が見られ、そのことが業績評価のための事業部利益の重要性を減少させていることの示唆は得られたものの、それに変わる業績評価指標としてキャッシュフローを明確な形で意識している企業は2社に過ぎなかった。このように、実証的な成果は得られなかったものの、両者の関係についての仮説は論文として発表している(論題「柔構造組織におけるマネジメントコントロールと管理会計情報」)。 以上の研究成果に基づき、98年度はアンケート調査を行い、第二の論点を実証することに力を集中する計画である。
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Research Products
(1 results)