1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640009
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 秀司 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50153804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 毅 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (70201506)
黒川 信重 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70114866)
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Keywords | 代数的サイクル / 周期積分 / Hodge理論 / Abol-Jacobi写像 / Griffithsの定理 / Chow群 / 高次Abel-Jacobi写像 |
Research Abstract |
代数多様体X上の余次元rの代数的サイクルとはα=Σ^K_<i=1>n_i[V_i]なる形式和のことである。ここでV_iはXの余次元rの既約部分多様体でn_iは整数である。r=1の場合は因子と呼ばれる。その研究の歴史は長く、その重要性は代数幾何のみならず整数論においても深く認識されている。本研究の目的の一つは“代数的サイクルを周期積分により統制する"という。問題に取り組むことである。これは代数幾何学における最も基本的かつ深遠な問題の一つといって過言ではないであろう。この種の問題で最も名高いのがHodge予想とAbelの定理である。本研究では後者の一般化及び高次元化を主な目的とする。Abelの定理とはRiemann面上X上の因子にたいしそれがX上の有理型関数の因子となるための条件をX上の正則な微分形式のある積分に関する条件で与えるもので、19世紀の一変数複素関数論の金字塔である。Abelの定理の高次元化とは“高次元代数多様体X上の代数的サイクルにたいし周期積分を使ったHodge理論的な不変量を探し出し、これによりサイクルが有理同値、あるいは代数的同値であることを判断する"と言う問題に他ならない。 以下、CH^r(X)によりX上の余次元rの代数的サイクルのなす群を有理同値で割った群、Chow群を表す。上の問題への重要な第一歩がGriffithsが60年代の終わりに定義したAbel-Jacobi写像ρ^r_X:CH^r(X)_<hom>→J^r(X)である。ここでCH^r(X)_<hom>はホモロジー的にゼロに同値なサイクルの成す部分群で、J^r(X)はXよりHodge理論的に定まる複素トーラスでXの中間Jacobi多様体と呼ばれる。Abel-Jacobi写像の定義は本質的に周期積分による。Abelの定理の主張はXがリーマンでr=1の場合に上の写像が同型である、と言い換えられる。しかし1968年MumfordはXが曲面でr=2の場合にはρ^r_Xは一般には巨大な核を持ちうることを示した。このような状況に対し本研究者はGriffithsのAbel-Jacobi写像を一般化する“高次Abel-Jacobi写像"を定義し、さらにGriffithsのAbel-Jacobi写像では消えてしまうような種々の代数的サイクルが高次Abel-Jacobi写像により捉えられることを示した。その一つとして次の定理を示した。 定理Xをp^n内の一般の次数2n-3の超曲面とする。ただしn【greater than or equal】4とする。このときX上の1-サイクルでホモロジー的にゼロに同値であるが何倍しても代数的にはゼロに同値にならないサイクルが存 この定理のn=4の場合はGriffithsにより1969年に示された。それ以前は、ホモロジー的同値と代数的同値は少なくともねじれを無視すれば常に一致すると信じられていたので、この結果は先に延べたMumfordの結果とともに当時の代数的サイクルの研究に大きな衝撃を与えた。Griffithsは上の結果のn=4の場合を彼自身の定義したAbel-Jacobi写像を使い示したが、n〉4の場合にはGriffithsのAbel-Jacobi写像はゼロ写像になってしまう。上の定理は高次Abel-Jacobi写像が代数的サイクルの研究に本質的な進歩をもたらしたことを意味する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shuji SAITO: "Motives and filtralions on Chow groups" 次の論文集に発表予定 NATO ASI/1998 CRM,The arithmelic and geometry of algebraic cycles.
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[Publications] Shuji SAITO: "Motives,algebraic cycles and Hodge Theory" 次の論文集に発表予定 NATO ASI/1998 CRM,The arithmelic and geometry of algebraic cycles.
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[Publications] S.Saito and U.Jannsen: "Class field theory for varieties over local fields" 発売予定 J.reine augew.Math.