1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640077
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
長岡 昇勇 近畿大学, 理工学部, 教授 (20164402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 恒信 近畿大学, 理工学部, 講師 (70257963)
中川 暢夫 近畿大学, 理工学部, 助教授 (10088403)
田澤 新成 近畿大学, 理工学部, 教授 (80098657)
泉 脩蔵 近畿大学, 理工学部, 教授 (80025410)
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Keywords | 保型形式 |
Research Abstract |
本研究の実施計画書で述べた研究目標のうちで次のような進展があった。まず、昨年得られたp進アイゼンシュタイン級数の理論に関して、得られた公式がレベルを持つあるタイプの重さが1のアイゼンシュタイン級数と一致するのではないか、という予想を論文の最後に提出したが、これについて興味深い結果が得られた。それは、我々の得たp進アイゼンシュタイン級数の公式が判別式が-pの虚二次体のノルム形式に対するテータ級数と一致する、という結果である。これは、ドイツ・オーベルボルファッハ数学研究所の研究集会「Modulformen」に出席した折りに京都大学の斎藤裕教授に示唆されたもので、帰国後これが確かめられた。これにより、KudlaやRallisによって展開されている「一般化されたSiegel-Weil公式」を経由することにより、我々の予想が解決される可能性がでてきた訳である。ただし障害として残っているのは、重さが1のアイゼンシュタイン級数そのものがうまく定義できているのか、つまり正則性をもつのか、またそうなら、そのフーリエ級数が具体的に計算されるかという問題で志村による重さの低いアイゼンシュタイン級数の理論の適用が期待される。次に、昨年度得られた結果の一つである、標数pのモジュラー形式の理論について懸案であった「重さがp-1でフーリエ展開の定数項が1、他のフーリエ係数が全てpで割れる」様なモジュラー形式の存在が2次の場合に確定した。これは20年前にP.Deligneにより一般の次数で予想されたものであり、1次の場合は明らかであるが2次以上の場合暫く進展がなかったものである。昨年度の研究では上記のモジュラー形式が存在するためのいくつかの十分条件を与えたが、今回は最近進展している「ヤコビ形式」の理論を応用することにより素数pに条件をつけることなく存在することを証明した。これにより、Swinnerton-Dyerが20年前に与えた標数pのモジュラー形式のなす環の構造を2次の場合に全ての素数pについて決定することに成功した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 長岡昇勇: "A remark on Serres example of p-adic Eisenstein series" 数理解析研究所講究録. 1052. 201-216 (1998)
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[Publications] 泉 脩藏: "Quantification of the singularities of Osgood and Whitney" 数理解析研究所講究録. 1033. 106-109 (1998)
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[Publications] 淺井恒信・竹ヶ原裕元: "On the number of crossed homomorphisms" Hokkaido Mathematical Journal. (掲載決定).
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[Publications] 泉 脩藏: "Convergence of formal morphisms of completions of complex space" Journal of the Mathematicあl Society of Japan. (掲載決定).