1997 Fiscal Year Annual Research Report
トーラスから対称空間への多重調和写像の構成と可積分系理論の応用
Project/Area Number |
09640133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宇田川 誠一 日本大学, 医学部, 講師 (70193878)
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Keywords | 調和写像 / トーラス / 複素グラスマン多様体 / スペクトル・データ / 非超極小 |
Research Abstract |
I.McIntoshは、R^2からn次元複素射影空間CP^nへの非超極小(non-superminimal)な調和写像〓を、与えられたスペクトル・データから構成する理論を作った。これは、〓が2重周期の場合は、2次元トーラスT^2からCP^nへの非超極小な調和写像をすべて与えていることが、F.Burstallの結果からわかっている。 我々は、値域がC^nのなかの複素2次元平面全体のなす複素グラスマン多様体G_2(C^n)の場合を扱う。特に、n=4として、R^2からG_2(C^4)への調和写像ψを考える。ψが2重周期でT^2からの共形的かつ非超極小な調和写像は有限型であることがわかっている。そこで、スペクトル曲線をCP^1とし、その上の次数3の複素線束O(3(0))を考えると、それらのスペクトル・データから共形的または非共形的な非超極小調和写像R^2→G_2(C^4)の例をいくつか構成することに成功した。逆にMaurer-Cartan形式の〓による引き戻しの成分が定数の場合に、Muarer-Cartan形式を決定することができ、1つの例外を除いて、上記の例のS^1-族に合同であることが示される。また、より一般に、スペクトル・データを与えて、それらから、R^2からG_2(C^<2n>)への非共形的かつ非超極小な調和写像の構成法を与えることができた。これらは、有限型の調和写像になっていることがわかっており、2重周期の場合に、非共形的かつ非超極小なものをすべて与えているかは、今後の課題である。つぎに、スペクトル・データの複素線束を、ある条件を満たすように選ぶと、四元数射影空間HP^<n-1>への非超極小な調和写像が得られることもわかった。R^2を高次元化し、C^kからG_k(C^n)への多重調和写像も、スペクトル・データから構成できることは、I.McIntoshが、やはり、示しているが、より一般に、C^mからG_k(C^n)の場合に拡張することも今後の課題の一つである。
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