Research Abstract |
初年度の研究では,G_2(C^4)の2次元調和トーラスで,G_2(C^4)のMaurer-Cartan形式の引き戻しが定値行列になっている場合の分類を行い,それらは2種類あり,そのうちの1種類は種数がゼロのスペクトル曲線で与えられるスペクトラル・データから構成されることがわかった。残りの1種類については,最初の1種類のDressing actionにより得られるのではないかと予想していた。本年度の成果は,Dressing actionの無限小版であるDressing transformというものを考えると,上記の予想は肯定されることがわかった。これらは,Maurer-Cartan形式の引き戻しが定値行列の場合での話しであったが,さらに,一般に,Maurer-Cartan形式の引き戻しが定値行列に限らなくとも,G_2(C^4)のすべての2次元調和トーラスは,上記のスペクトラル・データから構成される1種類の例のDressing transformによって得られるものに,合同変換とS^1-作用を除いて,一致することが示された。ここで,合同変換とは,2次元トーラスT^2の複素座標の変換(z→cz,cはゼロでない複素定数)とK={k;T^2→K}による変換を表す。ここに,KはG_2(C^4)をisometry群Gを用いてG_2(C^4)=G/Kと等質空間として表したときのisotropy部分群を表す。調和写像ψ:T_2→G_2(C^4)のFraming F:T^2→GはF→Fk(k∈K)なる変換を受けても,ψは不変である。また,α=F^<-1>dFとおき,α=α_k+α_Mと標準分解G=K+Mに応じて分解する。さらに,αM=α'_M+a"_Mと,それぞれ,(1,0)-形式,(0,1)-形式に分解するとき,a_λ=λα'_M+a_k+λ^<-1>α"_M(λ∈S^1)と定める。α→α_λはS^1-作用であり,これにより,調和写像の方程式は保たれるので,調和写像のS^1-族が得られる。G_2(C^4)の場合にはこのS^1-族は非自明なものを与える。
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