1998 Fiscal Year Annual Research Report
作用素環における非可換不等式の数式処理を用いた研究
Project/Area Number |
09640167
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
久保 文夫 富山大学, 理学部, 教授 (90101188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸山 直人 富山大学, 理学部, 助手 (10293284)
水野 透 富山大学, 理学部, 講師 (10018997)
鈴木 正昭 富山大学, 理学部, 教授 (10037236)
風巻 紀彦 富山大学, 理学部, 教授 (50004396)
吉田 範夫 富山大学, 理学部, 教授 (80033934)
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Keywords | 作用素 / 非可換性 / 不等式 / 数式処理 / 量子三角形 / 量子三角法 |
Research Abstract |
上記表題のもとで,共同研究者を始め,安藤毅教授(北星学園大学経済学部)及び和田州平助手(国立・木更津工業高等専門学校)の協力により,作用素環論に於ける線形作用素の非可換な不等式の基礎となる幾つかの関係式を研究する延長に於いて,先ず,非可換な量子的世界に於ける量子三角形が存在することを発見し,量子三角法の一端を大韓民国の慶北国立大学数学教室に於ける日韓幾何学研究集会に於いて発表した. 発見した量子三角形は,通常のユークリッド幾何学の舞台となる平面やユークリッド空間ではなくてヒルベルト空間上の有界線形作用素のなす作用素環に於ける非可換な一般的配置を与えたときに三角形が与えられることを主張するものであって,その存在は報告者及び安藤教授によって開発された作用素平均の一般理論が大きな役割を演ずる.特に,ダフィン(カーネギー・メロン大学・当時)一派によるヒルベルト空間上の有界線形作用素の並列和演算乃至調和平均演算を用いることによって,作用素環に於ける非可換な一般的配置を与えたときに鋭角量子三角形の存在を保証できることが判った. 更に,安藤教授の示唆によって作用素環に於ける非可換な一般的配置を与えたときに直角量子三角形も存在することが判った.これにより,通常の平面三角法に対応する量子三角法の一般理論が可能となった. 平面三角法が平面三角形の九点円定理等に見られるような微細な構造を支えているのに対応して今後,量子三角法が量子三角形の微細な構造を発見・証明する事が予想され,微妙な量子不等式の発見へ繋がることが期待される.
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