1997 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的シュレディンガー作用素に付随した一般化フーリエ変換について
Project/Area Number |
09640212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
楳田 登美男 姫路工業大学, 理学部, 教授 (20160319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保城 寿彦 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (40211544)
岩崎 千里 姫路工業大学, 理学部, 教授 (30028261)
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Keywords | スペクトル理論 / 散乱理論 / 相対論的シュレディンガー作用素 / 固有関数展開 |
Research Abstract |
今年度の目標は、空間3次元の場合に相対論的シュレディンガー作用素に付随した一般化フーリエ変換を構成することとしたが、概ね目標を達成できたと考えている。研究成果の一部は昨年7月にオーストラリアで開催された国際数理物理学会で発表した。 今年度の研究実績の概要をもう少し詳しく説明する。量子力学において本質的な役割を演じるシュレディンガー作用素の相対論的な補正としては、通常はディラック作用素が扱われる。しかし、近年では物質の安定性を論じる立場から相対論的シュレディンガー作用素が扱われることも多い。本研究は相対論的シュレディンガー作用素を作用素論の立場から、その性質を調べようとするものである。研究では、まず相対論的シュレディンガー作用素に対して一般固有値問題を解いた。これにより相対論的シュレディンガー作用素に対する一般固有関数系が構成される。この部分では、極限吸収原理が成り立つことを相対論的シュレディンガー作用素に対して証明することが重要である。こうして得られた一般固有関数系が狭義の固有関数系と併せて、両方で完全系となることを示すのが次の段階である。この段階では、時間に依存しない相対論的シュレディンガー方程式(これは1階の擬微分方程式)の解の評価が重要である。また、相対論的シュレディンガー作用素の埋め込まれた固有値が作る集合は離散的であることも重要であるが、これは申請者が以前に行った研究で既知である。これとは別に、相対論的シュレディンガー作用素に対して散乱理論の手法を用いて、波動作用素の完全性を示す。そこで、波動作用素の定常表示を通じて、先に述べた固有関数系の完全性が示される訳である。最後に、波動作用素を用いて一般化フーリエ変換を構成すれば、その核が上にのべた一般化固有関数系で与えられることになって、目的が達成されるのである。
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