1998 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的シュレディンガー作用素に付随した一般化フーリエ変換について
Project/Area Number |
09640212
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
楳田 登美男 姫路工業大学, 理学部, 教授 (20160319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保城 寿彦 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (40211544)
岩崎 千里 姫路工業大学, 理学部, 教授 (30028261)
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Keywords | スペクトル理論 / 散乱理論 / 相対論的シュレディンガー作用素 / 固有関数展開 |
Research Abstract |
今年度の目標は相対論的シュレディンガー作用素のレゾルベントの性質に関して、さまざまな角度から研究することであったが、質量パラメータがゼロの場合に、一定の成果を収められた。さらに、この研究の副産物として、従前から報告者の研究対象であるディラック作用素のレゾルベントについての新しい着想を得た。 相対論的シュレディンガー作用素は質量パラメータがゼロの場合には一般の超関数に作用させるのが困難であり、既知の結果はオーダーが1/2のソボレフ空間に対してならば、作用させることが可能であると言うものである(Lieb-Loss)。この結果は相対論的シュレディンガー作用素のレゾルベントの性質を詳しく調べるためには、まったく不十分なものであり、そのために、質量パラメータがゼロの場合には相対論的シュレディンガー作用素のレゾルベントの研究に手が付けられていなかった。報告者は今年度の研究において、重み付き二乗可積分関数の空間に対してならば、質量パラメータがゼロの場合の相対論的シュレディンガー作用素を作用させられることを発見した。これにより、相対論的シュレディンガー作用素に対して、極限吸収原理の成り立つことが示せることになった。この結果と、以前に報告者が得た、相対論的シュレディンガー作用素に対する時間依存型の散乱理論の結果と併せると、一般固有関数の完全系が得られることになり、一般化フーリエ変換も同時に得られることとなった。ここで得られた一般固有関数は超関数の意味で定常的な相対論的シュレディンガー方程式をみたすが、これは上に述べた報告者の発見により可能となっている。現在は、ここで得られた一般固有関数がリツプマン-シュヴィンガー型の積分方程式の解として、特徴付けることが可能かどうが、また、ディラック作用素の低エネルギーでのレゾルベントの漸近挙動との関連について、研究を続行中である。
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[Publications] Chris Pladdy: "Radiation condition for Dirac operators" Journal of Mathematics of Kyoto University. 37・4. 567-584 (1997)
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[Publications] 保城 寿彦: "Mourre's method and smoothing properties of dispersive equations" Communications in Mathematical Physics. (掲載予定). (1999)