バナッハ空間における幾何学と確率の研究及びその応用

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09640214
• Research Institution: Okayama Prefectural University
• Principal Investigator: 高橋 泰嗣 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (30001853)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 高橋 眞映 山形大学, 工学部, 教授 (50007762) ; 佐藤 亮太郎 岡山大学, 理学部, 教授 (50077913) ; 川畑 洋昭 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (70081271) ; 高橋 浩光 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (30109889)
• Keywords: バナッハ空間 / タイプ・コタイプ / 一様凸空間 / クラークソン不等式 / ノイマン・ジョルダン定数 / 正規構造 / ラフカ不等式 / ベクトル値確率変数

Research Abstract

平成9年度に引き続き「バナッハ空間における幾何学と確率の研究及びその応用」について研究を進め、数々の成果を得た。以下にその概要を示す。
1. バナッハ空間のラデマッハーのタイプ・コタイプについては、前年度の研究でクラークソン不等式(CI)との関係が示されている。今回の研究では、リトルウッド行列を用いた新しいタイプ・コタイプを導入し、それらの行列のテンソル積のノルムを評価することにより、(CI)の高次元版である一般クラークソン不等式(GCI)が(CI)と同値であることを示した。また、関連したノルム不等式により空間の種々の幾何学的性質を特徴づけた。
2. 重みつきハンナー不等式であるパブ口ビッチ不等式について、その高次元化を対称型確率変数を係数として与えた。また、ラフカ不等式についても、その高次元化と逆不等式が成り立つための確率論的条件を与えた。
3. バナッハ空間のジェームス定数とノイマン・ジョルダン定数との関係を示す不等式を与えた。また、不動点定理に関連して重要な概念であるバナッハ空間の正規構造について、ジェームス定数との関連が知られていたが、今回の研究でノイマン・ジョルダン定数との関連を示した。
4. フィールズ賞を受賞したガワーズの重要な仕事に、バナッハの等質空間問題の肯定的解決がある。これに関連して、ジョンソンはバナッハ空間Xの弱コタイプ性とゴードン・ルイスの性質(GLPと略記)との関係を与えたが、我々は彼の結果を発展させて次のことを示した:Xは回帰的とする。Xのすべての部分空間および商空間が(GLP)をもつならば、Xは弱ヒルベルト空間(弱タイプ2かつ弱コタイプ2)である。また、バナッハ空間の極小性についても考察し、非回帰的な空間については、それが極小であるための必要十分条件を与えた。

Research Products

• [Publications] 高橋眞映: "Some convexity constants related to Hlawka inequalities in Banach spaces" 数理解析研究所講究録. 1027. 122-125 (1998)
• [Publications] 加藤幹雄: "Von Neumann-Jordan Constant and Some geometrical Constants of Banach spaces" 数理解析研究所講究録. 1031. 68-74 (1998)
• [Publications] 本田あおい: "Hlawkaの不等式の拡張" 数理解析研究所講究録. 1039. 12-19 (1998)
• [Publications] 高橋泰嗣: "Geometry of Banach spaces and norms of ±1 matrices" 数理解析研究所講究録. 1039. 165-169 (1998)
• [Publications] 章 忠: "スプラインウェーブレットによる非定常信号解析" 日本機械学会論文集(C編). 64・625. 3503-3509 (1998)
• [Publications] 高橋泰嗣: "Von Neumann-Jordan constant and uniformly non-square Banach spaces" Nihonkai Mathematical Journal. 9. 155-169 (1998)
• [Publications] 本田あおい: "Hanner type inequality with random coefficients" 北海道大学数学講究録. 57. 18-21 (1999)
• [Publications] 高橋泰嗣: "On minimal Banach spaces" 北海道大学数学講究録. 57. 22-25 (1999)
• [Publications] Jadranka Micic: "Inequalities of Furuta and Mond-Pecaric" Math.Inequal.of Appl.2. 83-111 (1999)
• [Publications] 高橋泰嗣: "W.T.Gowers氏の業績I" 数学. 51(to appear). (1999)
• [Publications] 高橋泰嗣: "Recent Progress in Banach Space Theong -W.T.Gowersの業績をめぐって" 数理解析研究所講究録. (to appear).