1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
西村 保一郎 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (90156117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 哲生 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10127053)
安田 苓子 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (90084855)
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Keywords | 複素力学系 / iteration / Julia集合 / Fatou集合 / Heron写像 |
Research Abstract |
Befdord-Smillieは一連の論文でC^2上に多項式自己正則同形の定める複素力学系の研究を続けている。典型的な2次多項式正則自己同形はHenon写像として有名である。西村の研究主題は,このBefdord-Smillie理論を,P^2上2次多項式双有理写像の定める複素力学系にまで拡げることである。まず,この対象の標準形を決定した。結果として,最も一般な3パラメータ族と,その退化形の1,2パラメータ族が求められた。Henon写像も,この2パラメータ族のうちの一つである。他に3種類の2パラメータ族がある。多項式正則自己同形の場合逆写像の不定点は,反復合成に対して一定であるのに対して,多項式双有理写像の場合は逆写像の不定点が,反復合成に連れて増加して複雑な現象を呈する。これが,まず2つの対象の間の大きな差異である。3種類の2パラメータ族に対して,この不定点の問題と取り組んでいる。 複素2次元空間の,複素1次元による切り口の上の点について,力学的挙動により分類してコンピュータグラフィックスを作ることが本研究の方法の一つである。不定点の近くでは,挙動が定まらないので計算が不正確になるが,その不定点が次第に増加していくので,一般的な写像に適用できるコンピュータグラフィックスソフトを作ることは困難である。現在個々の写像の特殊性を生かす工夫を試みている。 上田の研究主題は,P^2あるいはP^n上に正則有理写像の定める力学系である。Fatou集合の一般化として,Fatou写像の概念を導入した。この概念を用いて,critical pointsの集合が反復合成のもとで有限性を持つ場合の写像に関する結果を得た。1997年の湘南での多変数研究集会で講演した。また1998年3月には,アメリカでの研究集会でも発表予定である。 なお上田と西村は,京大の谷口雅彦氏,高知大の諸澤俊介氏と共に4人の共著で複素力学系の英文単行本を執筆した。
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