1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640248
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
寳来 正子 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (00015588)
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Keywords | ラムダ計算 / 単純型つきラムダ計算 / 自由代数 / 項代数 / 計算可能性 / 語に対する帰納的関数 |
Research Abstract |
研究論文'Lambda-representable functions over term algebras'は,前年度に発表した論文"Lambda-representable functions over free structures revisited"の続編であり,後者の結果と比較する意味で,型なしラムダ計算による関数の表現可能性を,語を対象とする関数の場合について帰納的関数論の立場から考察したものである. すなわち,通常の(自然数を対象とする)帰納的関数の概念を拡張して,語を対象とする帰納的関数の概念を定義し,それが,自然数によるコード化を経由することにより素朴な意味で「計算できる」関数の全体と丁度一致することを示した上で,更にそれが,型なしラムダ計算で表現可能な(語に対する)関数の全体とも一致することを示した. また,上の結果を得る過程で次のことが示された.語に対する関数の場合,最小化演算子μは,与えられた条件を満たす「最小の」語を返す演算子である.この最小性をどのように定めるかにより,異なる演算子が定義できる. 本論文では,(1)語の集合上に全順序を導入し,その順序に関して最小な語を選ぶ方法と, (2)自然に順序づけられた語の部分集合(例えば,a,aa,aaa,...)のみを対象とし,その中で条件を満たす最小の語を選ぶ方法を取り上げ,この両者のいずれを用いても,定義される帰納的関数の概念は変らないことを示した. 以上は,語を対象とする関数についての結果であるが,この考え方を2分木やその他の木構造に拡張する可能性についても検討し,特に,上の(2)の考え方に基づく最小化演算子が,2分木を対象とする帰納的関数の概念を簡潔に定義するのに有用であることを確認した.この結果について現在発表を準備中である.
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Research Products
(1 results)