1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640278
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 野人 九州大学, 大学院数理学研究科, 講師 (30210545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 寛 九州大学, 大学院数理学研究科, 講師 (30203839)
中尾 充宏 九州大学, 大学院数理学研究科, 教授 (10136418)
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Keywords | 精度保証付き計算法 / 数値的検証法 / 有限要素法 / 誤差解析 / 固有値問題 |
Research Abstract |
本年度は、有限要素法によって得られる解の誤差評価法に関する研究を行なった。有限要素解の誤差評価式にあらわれる定数を算定することは難しく、2次元ではもっとも簡単に思われる三角形1次要素に対してすら実用に際しては不十分な結果しか得られていなかった。我々は、精度保証付き計算の手法を用いることで、三角形1次要素に対する誤差評価定数をかなりシャープな区間の中に捉えることに成功した。さらに、その過程で、対称行列の固有値の順位(大きさに関する)を数値的に確定する方法を開発した。以下、これらについて述べる。 1. 有限要素法の誤差評価式にあらわれる定数の算定法 これは、Poisson方程式の解を三角形1次要素で補間した時の誤差を方程式の右辺で見積もることと同値になる。このことを利用すれば、問題を標準三角形の上での補間の問題に置き換えることができる。 この問題に対してNatterer(1975)の行なった解析は、誤差評価定数を過大に見積もるものであった(実際の大きさの2倍近い)。Arbenz(1982)らは、この問題をさらに重調和方程式に関する問題に変換して、その近似値を計算しているが、近似スキームの打ち切り誤差や計算時の丸め誤差の影響について考慮された結果ではない。 我々はこの問題をLaplacianについての固有値問題の一種に変換し、その解を精度保証付きで計算することで、誤差評価定数を厳密に含む区間をごく小さな幅で算定した。この結果は上述の既存の結果に比べて、画期的なものである。 2. 行列の固有値の順位の数値的決定法の開発 上述の計算の過程で、数千元の連立1次方程式を変動するパラメータのもとで繰り返し解く操作があらわれる。これを数値的に厳密に解くためにRumpの方法をもちいるのだが、そのためには係数行列の最小特異値を同定する必要がある。係数行列はパラメータを含むので、最小特異値はパラメータに線形に依存する量で見積もることになる。この形を決定するために、基底関数の内積に関する行列の第2固有値を精度保証付きで計算する必要がでてきた。そこで、計算された近似固有値の周りに、真の固有値を含む区間を算定し、かつそれが小さい方から数えて何番目の固有値であるかを確定するための数値的な方法を開発した。この方法はLDL分解とその事後誤差に基礎をおくもので、すべての対称行列に適用できるものではないが、理論および計算の簡便さから有効な手法であると思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakao, M.T.: "On the best constant in the error bound for the H^1_0-projection into piecewise polynomial spaces" Journal of Approximation Theory. 93. 491-500 (1998)
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[Publications] Nakao, M.T.: "Numerical verification of solutions for nonlinear elliptic problems using L^∞ residual method" Journal of Mathematical Analysis and Applicatons. 217. 246-262 (1998)
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[Publications] Nakao, M.T.: "Constructive L^2 error estimates for Finite Element Solutions of the Stokes equations" Reliable Computing. 4. 115-124 (1998)
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[Publications] Nakao, M.T.: "A posteriori and constructive a priori error bounds for finite element solutions of the Stokes equations" Journal of Computational and Applied Mathematics. 91. 137-158 (1998)
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[Publications] Yamamoto, N.: "A numerical varification method for solutions of boundary value problem with local uniqueness by Banach's fixed point theorem" Siam Journal on Numerical Analysis. 35・5. 2004-2013 (1998)
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[Publications] 中尾充宏,山本野人: "精度保証付き数値計算" 日本評論社, 160 (1998)