1998 Fiscal Year Annual Research Report
非線形反応拡散方程式系における空間パターンとその時間展解の研究
Project/Area Number |
09640301
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川崎 廣吉 同志社大学, 工学部, 教授 (10150799)
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Keywords | reaction-diffusion equation / pattern formation / bacterial colony / chenotaxis / demse-branching morphology |
Research Abstract |
生物の集合現象の中で,バクテリアの走化性や細胞性粘菌の集合,昆虫の集合などは,化学物質の濃度勾配に感じて集まる走化性の問題として重要視されている.自らが分泌する物質に対して走化性を示すバクテリアは集合現象としてスポット状のコロニーを作るが,さらに大域的にそのスポットがほぼ等間隔の同心円上に規則正しく配列する.また,バクテリアの培養においては,培養条件の違いによってDLA(Diffusion Limited Aggregation)やDBM(Dense-Branching Morphology)などのパターンが形成される.これらの興味有る現象を非線形の反応拡散方程式系によって定式化することができる. 本研究では,このような非線形の反応拡散方程式系でモデル化されたバクテリアのコロニーパターンの形成に関して,コロニーのスポットが同心円上に形成する走化性のバクテリアについては,空間パターンの拡大速度やスポットの密度などのパラメータ依存性を計算機シミュレーションを多数行って調べた.また,DBMのパターンを再現するパラメータ空間に対して,空間パターン解の存在条件や空間パターンの拡大速度のパラメータ依存性を調べるための計算機によるシミュレーションを多数行った. コロニースポットの同心円パターンに関しては走化性の大きさを示す係数がスポットパターンの再現に大きく影響することが明らかにされた.また,DBMパターンに関して,拡散係数と養分の初期濃度がパターンの形とその形成時間に大きく影響していることは明らかにされているが,実験に見られる養分の初期濃度が非常に低い場合のDLAパターンについては,拡散係数の養分濃度依存性をいろいろ関数形で調べたが,今のところ反応拡散方程式ではうまく再現できず今後の課題である.
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