1997 Fiscal Year Annual Research Report
木曽シュミット望遠鏡によるクェーサー広域ディープサーベイ
Project/Area Number |
09640309
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林野 友紀 東北大学, 理学部, 助手 (10167596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高遠 徳尚 国立天文台, 大型光学赤外線望遠鏡計画推進部, 助手 (50261152)
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Keywords | クェーサー / 高赤方偏移 / 広域サーベイ / 狭帯域フィルター / 低分散分光 / 木曽シュミット望遠鏡 / 輝線スペクトル / 観測的宇宙論 |
Research Abstract |
今年度、木曾シュミット望遠鏡・2K-ccdカメラ、及び本課題にて購入した狭帯域(NB)フィルターを含むフィルターシステムを用いてクェーサー低分散分光サーベイを開始した。これまでに2天域、計約1度四方の探索を行ない、赤方偏移z=2.4〜3.6を持つV等級<20.6の10個のクェーサー候補を見い出した。('97年12月「第3回すばるファーストライトシンポジウム」、'98年2月「21世紀の大型観測装置による天文学」シンポジウム等で発表)クェーサー光度関数によるとこの領域に期待されるクェーサー数も約10個であり、本課題のサーベイ法=狭帯域フィルター分光法がクェーサー輝線検出に有効であることを示している。 '98年度は本課題によりフィルターシステムを拡充し、クェーサー低分散分光サーベイを発展させる計画である。即ち、木曾観測所では'98年度からクェーサーサーベイをプロジェクト観測とすることを決定しており、観測時間・観測条件など'97年度より更に良好な状況のもとで、出来るだけ広い天域に亘ってサーベイを行ないたいと考えている。特に'98年度本課題で購入するフィルターは長波長の数バンドを予定しており、これにより探査できる赤方偏移領域をz=5まで拡大して、木曾シュミット望遠鏡の広視野を活かした観測を進めたい。 クェーサーに関する現在の知識では赤方偏移zが4を越すとクェーサー数は激減するとされているが、これは未だ確定した知見とは言えない。従って、これまでの探索方法に比べクェーサー輝線検出の効率が優れていると考えられる本課題の方法=狭帯域フィルター分光法によって高赤法偏移(z>4)を探索することは非常に興味深く、大きな意義を持つものである。
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