1997 Fiscal Year Annual Research Report
赤外スペース天文台(ISO)によるAGB星質量放出の観測的研究
Project/Area Number |
09640313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田辺 俊彦 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (90179812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾中 敬 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (30143358)
中田 好一 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (80011740)
辻 隆 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (20011546)
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Keywords | 恒星進化 / 恒星進化終末期 / 低温度星 / 漸近巨星枝星(AGB星) / 質量放出現象 / 星周塵 |
Research Abstract |
我々が提案していた赤外スペース天文台(ISO)によるマゼラン雲球状星団の系統的観測は今年度ほぼ予定通り終了した。 本年度はワークステーションを購入し、ISOに搭載された近・中間赤外カメラ及び遠赤外測光器のデータ解析のためのソフトウェアを導入し、データ解析の方法を確立した。これらを用いて7つの中間年齢球状星団についてデータ解析をほぼ終了した。その結果以下のような結果を得た。 従来の地上からの可視・近赤外域の観測では暗くて見つけることのできなかった非常に赤い星をISOカメラによる中間赤外域の観測から2つの球状星団に発見した。これらの星では質量放出が非常に大きく、その結果、星の周りで多量の固体微粒子(ダスト)が形成され、それらダストが星の可視・近赤外光を遮る一方、吸収した光を中間赤外域で放射しているため、非常に赤い天体となっていると考えられる。またその絶対光度から、これらの星は漸近巨星枝(AGB)段階の段階にあること、その発見の頻度から、多量の質量放出をしている時間が非常に短いことが判った。これらの星の発見により、同一の球状星団内に質量放出の小さいAGB星から非常に大きなAGB星までが系列をなかことを初めて観測的に示すことができた。これは、AGB期の最終段階で多量の質量が失われ、惑星状星雲へと進化するとする今までのAGB星の進化の理論を裏付ける結果となった。しかしながら、見積もられた絶対光度はAGB星の範囲に入っているものの、従来の理論から予測されるよりやや小さく、遠赤外域にさらに低温のダストによる放射が存在する可能性がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tanabe,T.et al.: "The Absolute Sensitivity Calibration of the IRTS/MIRS" Proc.Diffuse Infrared Radiation and the IRTS. ASP 124. 25-30 (1997)
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[Publications] Tanabe,T.et al.: "Extreme infrared stars discovered in Magellanic Cloud globular clusters" Proc.ISO's View on Stellar Evolution. (in press). (1998)
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[Publications] Tsuji,T.et al.: "Molecules of Non-photospheric Origin in Red Giant and Supergiant" Proc.150's View on Stellar Evolution. (in press). (1998)
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[Publications] Jones,H.R.A. and Tsuji,T.: "Spectral evidence for dust in late-type M dwarfs" Astrophys.J.480. L39-L41 (1997)
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[Publications] Onaka,T.et al.: "ISO-SWS Observations of the Time Variabillty of Oxygen-rich Mira Variables" Proc.ISO's View on Stellar Evolution. (in press). (1998)
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[Publications] Onaka,T.et al.: "IRTS OBservation of Zodeacal Light and Emission" Earth,Planets,and Space. (in press). (1998)