1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高原 文郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20154891)
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Keywords | 活動銀河中心核 / 相対論的ジェット / 電子陽電子対 / 粒子加速 / 衝撃波 / ガンマ線天文学 / ブラックホール / 電波銀河 |
Research Abstract |
活動銀河中心核や銀河系内部ブラックホール候補天体の一部にみられる相対論的ジェットの物理的性質とその加速機構について理論的な検討を行った。まず、ジェットを正面から見ている天体であるブレーザーの多周波同時観測データを使ってジェットの物理状態を推定した。時間変動とガンマ線の透明度から放射領域の大きさとビ-ミング因子を推定した上で、シンクロトロン成分と逆コンプトン散乱成分の比を用いて、相対論的電子、磁場、各放射成分のエネルギー密度を推定した。その結果、ジェットのエネルギー収支としては相対論的電子が卓越していることを示した。もし、ジェットが電子と陽子から構成されていれば、ジェットの運動学的光度はエディントン光度を超えるので、ジェットは主として電子陽電子対からなることが示唆される。 上の解析から、ブレーザーのジェットはシュワルトシルト半径の数百倍から数千倍程度の距離でローレンツ因子が10程度にまで加速されていることがわかる。また磁場が弱いことからその加速機構としては磁場よりも輻射場の寄与が大きいものと考えられる。そこで輻射場による加速機構を定量的に検討した。以前から知られているように、降積円盤からの輻射場でトムソン散乱のみを考えると、電子陽電子ジェットのローレンツ因子が3程度になると輻射場はむしろ減速の効果をもたらす。これを逃れるいくつかの可能性を検討した。一つの可能性はローレンツ因子が3程度にまで加速された底部ジェットからの二次散乱光のビ-ミング効果を使って上部ジェットをさらに加速する可能性である。もう一つの可能性はコンプトン散乱に加えてシンクロトロン吸収がある場合である。いずれの場合もローレンツ因子が10以上にまで加速できることを示した。現実にはジェットの光学的厚さの問題を考慮する必要があるが、この問題は最終年度に検討を行う予定である。
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[Publications] S.Inoue: "On Radiative Acceleration of Relativistic Jets" Progress of Theoretical Physics. 98・4. 807-828 (1997)
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[Publications] J.Miyazaki: "Gamma-ray spectra from a polar-cap model of pulsars" Monthly Notices of the Royal Astronomical Society. 290・1. 49-58 (1997)
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[Publications] F.Takahara: "Physical Properties of Relativistic Jets in Blazars" Proc.of International Conf.on 'Relativistic Jets in AGNs'. 253-261 (1997)