1997 Fiscal Year Annual Research Report
Optically thick windとその総合的応用
Project/Area Number |
09640325
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 万里子 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (50185873)
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Keywords | 星の質量放出 / 白色矮星 / 連星系 / 新星 |
Research Abstract |
本年度の成果は3つにまとめられる。 まず古典新星の光度曲線解析については、古典新星の光度曲線を多数計算しデータ集を作った。連星パラメターは広い領域をとっており種族IとIIもカバーしている。これにより銀河の進化への応用がひらけた。 次に回帰新星の光度曲線を詳しく計算し、4つの天体について光度曲線解析を行った。その結果、白色矮星の重さはいずれもチャンドラセカ-ル質量に非常に近いことがわかった。回帰新星がいずれも非常に重い白色矮星を含むことは連星系の進化とIa型超新星の母天体との関連からみて非常に興味深い。いくつかの回帰新星の起源は、次の項でのべる連星系の進化説で説明できることがわかった。 また、連星系の進化に関する新しいパラダイムを作った。白色矮星を含む連星系の進化については、白色矮星表面からの質量放出を考慮すると、連星系の進化がこれまでの通説とは全く違うものになる。ここではOptically thick wind理論を連星系の進化にとりこんで時間変化を迫った。これは伴星からガスが定常的に流入して降着円盤を作り、赤道面から白色矮星に降着するが、一方で白色矮星の表面では水素の核燃焼がおこっており、定常的な質量放出があるというものである。質量放出するガスの持ち出す角運動量と質量が系の進化をきめる。この新しいパラダイムに基づいたモデルで、いくつかの超軟X線源や共生星の光度曲線について、細かな点まできれいに説明できる連星系モデルを構築することに成功した。これらの成功により、新しいパラダイムは確立したといってよい。
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