1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鈴木 敏男 福井大学, 工学部, 教授 (80115865)
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Keywords | 巨大共鳴 / ミ-・プラズモン |
Research Abstract |
原子核の巨大共鳴状態は原子核の最も基本的な集団運動状態であるために、古くから研究されてきた。その結果、全ての原子核でどのような砺起エネルギーをもって存在するかは、理論的にほぼ理解されている。しかしながら、巨大共鳴状態の幅については、ランダウダンピングと衝突幅がどのように寄与しているか、未だ明確ではない。解き明かされていない理由は幅を議論する見通しの良い理論的な枠組みがないことと、核子間相互作用が良く分かっていないためである。 一方、最近の実験技術の進歩により、新しい有限多体系であるマイクロクラスターの研究が盛んになってきた。その中で、原子核の双極子巨大共鳴状態と、集団運動状態として同じ古典的描像をもつミ-・プラズモンが発見されている。前者は陽子群と中性子群逆位相で振動する状態であるのに対して、後者は正の電荷をもつイオン群と電子群の振動である。ところが、構造を支配する相互作用は、原子核では良く分かっていない強い相互作用であるのに対して、マイクロクラスターでは良く知られた電気的な相互作用である。従って、ミ-・プラズモンの研究は、それ自身の研究だけではなく、原子核の巨大共鳴状態の幅の研究にとって、理論の枠組みの妥当性を調べる上で、非常に有意義なものとなる。 以上の観点から、今年度は主にミ-・プラズモンの幅の研究を行った。その結果、朝永の集団運動理論が励起エネルギーと幅を統一的に矛盾なく議論する上で、非常に有効であることを示した。また、励起エネルギーや幅の電子数依存性、クラスターサイズ(R)依存性の解析的な表現を求めた。特に、励起エネルギーは従来色々な方法で求められた者に等しいが、これに矛盾なく求められた幅のサイズ依存性は今まで長い間、1/R一則として信じられてきたものと異なり、1/√Rであることを示した。
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[Publications] H.Kurasawa: "Damping luidth of the Mie plasmon" Physical Revieiv. B56. R10063-10066 (1997)
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[Publications] H.Kurasawa: "Nuclear mediume Hects to be observed and not to be observed" Genshihaku Kenkyu. 42. 41-48 (1997)
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[Publications] 倉沢治樹: "ミ-・プラズモンのランダウ減衰" 素粒子論研究. 95. B35-38 (1997)
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[Publications] H.Kurasawa: "Double giant resonance states" Proc.of Int.RIKEN Symposivin on Giant Resonances. 157-163 (1997)
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[Publications] H.Kurasawa: "The continuity efuation of RPA" Progress of Theoretical Physics. 99. 145-150 (1998)
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[Publications] H.Kurasawa: "Spin dipole states of deformed nuclei" Proc.of Int.Symposium on New Facet of Spin Giant Resonances m Nuclei. (発表予定).