1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑 浩之 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70164837)
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Keywords | 弦理論 / 弦の場の理論 / 双対性 / D-brane / Born-Infeld作用 |
Research Abstract |
本研究計画では、弦理論の双対性を『弦の場の理論』の枠組みの中で理解すると共に、双対性を基礎にして『弦の場の理論』の定式化を完成させ、更にはそれを用いて弦理論の非摂動論的解析を行うことを目的としている。今年度はその第一歩として、超弦理論の双対性において重要な役割を果たすD-braneの自由度を、弦の場の理論に基づいて導入することを行った。具体的には、本研究の研究代表者(畑)を含むグループが以前に構築した。共変かつゲージ不変な閉弦の場の理論に対して、閉弦のゲージ対称性を保つことを指導原理にして、boundary stateを通じた閉弦場-D-brane相互作用を導入した。このゲージ不変性の要求により、boundary stateのD-brane力学変数Fμνに対する依存性および、Fμνの運動項の形が決定された。さらに、このように得られた閉弦場+D-braneの系の作用が、従来からBorn-Infeld作用として知られていたD-braneの有効作用を閉弦の無質量成分場について展開したものと一致することが確認された。これらの結果は、理学研究科大学院生の橋本幸士氏との共著論文としてPhysical Review Dに発表した。なお、この閉弦場+D-braneの系は、D-braneに付随した力学変数に対する微分に関して最低次のみを考慮したものであったが、これに対して、高次微分の補整を加えて行く手法についても研究を進めている。これらの研究により、本研究計画の目標の一つである、"D-BraneとしてCFTの枠組みの中で構成されたソリトン的物体を閉弦の場の理論におけるある種の古典解として理解すること"に対する端緒が開けたと思う。 なお、元々本年度の目標としていた"閉弦の場の理論において電気⇔磁気(強結合⇔弱結合)双対変換を構成すること"に関しては、まだ具体的な手掛かりが得られていない。
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