1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640349
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二宮 正夫 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40198536)
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Keywords | 超弦理論 / 弦の場の理論 / 弦の第2量子化 / ボソン場の理論 / Dirac sea / 負エネルギー状態 |
Research Abstract |
自然界の全ての力と全ての素粒子を統一して記述する統一理論を構成することは、現代の素粒子論における最も重要な課題の一つである。この統一理論の最も有力なおそらく唯一の候補は超弦理論であると考えられる。この理論は10^<-33>cmを基本とする超極微の世界を支配する基本理論と考えられ、素粒子の研究のみならず、宇宙の誕生およびその直後の謎を探究するのに必須のものと思える。 現在のところ超弦は第1量子化の理論として定式化が行われてきた。このためその非摂動的な研究が極めて困難であり、特に基底状態を決定することができないまま、現在に至っている。一方弦を第2量子化した弦の場の理論はいくつかの先駆的研究があるが様々な困難を内包しており成功した理論は未だ存在しない。 本研究計画においては弦の断片を構成要素とし、それらを第2量子化することにより、矛盾のない理論を構成するという新しい方法をコペンハーゲン大学ニールスボ-ア研究所のH.B.Nielsen教授と共同で提唱した。この方法に従い、まず、ボゾン弦の第1量子化の理論から出発して、弦の断片に関する生成消滅オペレーターを導入した。更に、それらに対する一般化されたボ-ス対称性として置換対称性を定義し、Fock空間を構成することにより、第2量子化を実行した。このようにして、矛盾のない弦の場の理論のモデルを構成することに成功した。成果は現在論文としてまとめているところであり、まもなく発表される予定である。 さらに、この際、ニールセン教授と共同で、用いるボゾンの第2量子化の方法としてDirac Seaの方法を全く新たに構成した。これまでフェルミオンに対しては、負エネルギーをすべて満たすことによりDirac seaをつくり、基底状態を作ることができたが一方ボソンに対してはこのDirac seaに対応する方法が見い出されていなかった。永年場の理論における問題として残っていたこの欠落していた方法を見い出し、この問題に解答を与えたものと考える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.B.Nielsen: "Dirac Sea for Bosons" 京大基研プレプリントYITP-98-21. (1998)
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[Publications] Y.Kitazawa: "Scaling Behaviour of Ricci Curvature at Short Distance near Two Dimensions" Physical Review. D55. 2076-2081 (1997)
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[Publications] H.Kawai: "Renormalizability of Quantum Gravity near Two Dimensions" Nuclear Physics B. 467. 313-331 (1996)