1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640349
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二宮 正夫 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40198536)
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Keywords | 量子重力 / 2次元重力 / くりこみ群 / 弦理論 / 弦の場の理論 / ランダム面 / 場の理論 / ブラックホールの量子群 |
Research Abstract |
量子重力の構成とその性質の解明は近年長足の進歩を遂げつつあるが二宮はこれまでいくつかの注目される結果を得てきた。繰り込み群とε展開に基づく統計力学的な場の理論を応用して研究を行ってきたが、この研究の特色はアインシュタインの重力理論が繰り込み可能となる1時間1空間の2次元の近くにおいて統計的場の理論によって研究し得られた結果を現実の4次元に拡張しよう、という方法にある。これまで2+ε次元において繰り込み可能な矛盾のない量子重力の理論を構成することができその繰り込み可能性の厳密な証明を与えることができた。この理論を用いて量子重力の微少距離つまり高エネルギーにおける諸性質を明確に解明した。更に宇宙の始まりのビッグバン近傍における時空の量子的性質、つまり古典重力の特異点が量子効果によって消失するか否かの分析を開始した。以上の成果の上に本計画において2+ε量子重力理論を用いてビッグバン近傍の量子時空の性質の解明を進めるとともに3次元及び4次元の時空における量子重力理論の形成を目指す。 重力を含む素粒子の全ての相互作用の統一理論の唯一の候補として超弦理論は近年大きく研究が進展している。これまでの摂動論による解析によって無数の真空の存在が明らかとなり、そのため非摂動的に扱うことによって唯一の真空を見出すことが必要不可欠と考えられている。具体的な非摂動的な超弦理論の定式化の方法として超弦を量子化して超弦の場の理論を構成する。これまでのことろ、right-movingとleft-moving waveを基本要素として弦の場の理論の定式化を発展させてきた。また、この研究を発展させる過程でボソン場に関するDirac seaを用いた量子論の構成法を発展させ、場の量子論に対する新しい知見を得た。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.B.Nielsen、二宮正夫: "Dirac sea for bosons" HEP-TH 9808108. (1998)
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[Publications] 北沢良久、二宮正夫: "Scaling behavior of Ricci curvature at short distance near two-dimensions" Physical Review. D55. 2076-2081 (1997)