1998 Fiscal Year Annual Research Report
荷電粒子による数cm厚の水からのチェレンコフ光の検出と粒子識別の研究
Project/Area Number |
09640362
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中野 逸夫 岡山大学, 理学部, 教授 (90133024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
作田 誠 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (40178596)
田村 詔生 新潟大学, 大学院櫟然科学研究科, 教授 (00025462)
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Keywords | 波長変換剤 / ヂメチルPOPOP / アミノG酸 / チェレンコフ光 / 光電子数 / 電子識別 / 量子効率 / 検出効率 |
Research Abstract |
今年度は、波長変換剤を直接水に溶解し、チェレンコフ光の紫外領域を効率よく、光電子増倍管の量子効率の高い波長領域に変換し、得られる光電子量をふやすことに努めた。波長変換剤としては、ヂメチルPOPOPとアミノG酸を試みた。 ヂメチルPOPOPは水に難溶性を示し、ジオキサンとメタノールを溶媒として用いたが、水に混ぜると白色沈殿物を生じ、混合の割合を考慮し水に溶けるようにすることが今後の課題として残った。また、ジオキサンは化学的活性が強く、アクリルを溶かすので取り扱い上の課題も残った。水を使用せず、ジオキサン50ml、メタノール30mlの混合液にヂメチルPOPOPを0.13g溶かした液に対してチェレンコフ光による光電子数を測定した。結果は水のみの場合に比べて約2倍の光電子数が得られることがわかった。 一方、アミノG酸は、腐食性が強く、アルミニウム管に直接入れると赤く変色し、これも取り扱いに注意が必要であることがわかった。水300mlにアミノG酸を30mg溶かした液をガラス容器に入れ、光電子数測定を行った結果、純水に比べて約2倍の光電子数を得ることができることがわりかった。 今回のテストでは、管の長さ方向の位置による光電子数の違いを調べることができなかったため、3mの長さの検出器での検出効率や電子識別能力について評価ができないが、水だけの場合の2倍程度の光電子数が得られることから、波長変換板を用いた場合より、よい検出効率や電子識別能力を得られる可能性はある。チェレンコフ光を発生する有効領域については、水の占める場所を占有する波長変換板を用いるより波長変換剤を水に溶かした方が得をするのは言うまでもない。
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