1998 Fiscal Year Annual Research Report
高精度電磁シャワーカロリメーター用高速フロントエンドエレクトロニクスの開発と評価
Project/Area Number |
09640367
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Research Institution | Miyazaki University |
Principal Investigator |
高松 邦夫 宮崎大学, 工学部, 教授 (40013370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 進 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (10013434)
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Keywords | 電磁シャワーカロリメーター / PWO / フロントエンドエレクトロニクス / 高速ADC / 高速QAC / フルカスムIC / 共同研究 / 世界初 |
Research Abstract |
高エネルギー物理学研究において電磁シャワーカロリメーターは,その測定器系におけるγ線検出にとって,不可欠のものである。最近の高エネルギー研究においては一層の高精度化を要請している。特に現象の高統計精度測定を要請-これはとりも直さず測定器系の高速化を要請-する。我々はこの要請に対して,ロシア高エネルギー物理学研究所(IHEP・プロトヒン),ヨーロッパ原子核研究所(CERN,ジュネーブ)及び高エネルギー加速器研究機構(KEK,つくば)・宮崎大と共同で高速・高耐放射線性重結晶シンチレーター・タングステン酸〓(PbWO_4,略称PWO)の開発を行った。このPWOは既にCERN・COMPASS実験,同CMS実験に使用することが計画されている。高速応答を示すPWO信号の処理には高速フロントエンドエレクトロニクス・高速ADC(アナログ・ディジタル変換)回路を必要とする。COMPASS実験はADCに,変換時間3MS以上,直線性10ビット以下,ダイナミックフレンジ12ビット以上の特性を要請する。このような高特性のものは市販品になく,又世界のいづれの研究機関でも有していない。実現が切望されてきた。我々KEK・宮崎大研究グループはこれの開発・製作を目指し,QAC(荷重-アナログ変換)-ADC方式で開発研究をすすめた。高速・且つ大量チャネル(1万チャネル以上)使用の要請からQACをフルカスタムICで実現することを目指した。2年半の開発研究(1998年第1回フルカスタム試作QAC,1999年3月最終開発QAC完成品予定)の結果,変換時間1MS以下,直線性10ビット以上,ダイナミックレンジ13ビットのQACが得られた。最終完成品(100個)が本年3月に得られるのを待って,最終性能試験を行う。このような高速QACの製作は世界初であり,すでに使用計画がすすめられている。
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