1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
稲岡 毅 岩手大学, 工学部, 助教授 (40184709)
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Keywords | 半導体表面 / 吸着 / 表面励起 / 電子構造 / 表面バンド湾曲 / キャリア涸渇層 / キャリア密度分布 / 密度汎関数法 |
Research Abstract |
ドープした半導体の表面バンド構造は吸着に敏感であり,吸着の被覆度の増加とともに表面でバンドが湾曲し,キャリア涸渇層あるいはキャリア蓄積層が形成されていく例がいくつか知られている。本研究の目的は,吸着により表面バンド構造が著しく変わっていくときの表面素励起の変化を定量的に追跡することである。 初年度は,局所密度汎関数法を用いて,基底状態および熱平衡状態における,上記表面でのキャリア密度分布と有効1電子ポテンシャルを計算した。収束解の得やすい系である薄膜を用い,膜厚依存性も調べた。 1.半導体薄膜のキャリア電子状態の膜厚依存性 キャリア涸渇層の有無に依らず,膜厚が小さくなっていくと,薄膜内部でのキャリアとドナーの電気的中性が破れて,擬2次元系へと移行していく。また,薄膜内部での電気的中性が十分満たされるような膜厚であれば,薄膜でも半無限系表面でのキャリア密度分布と有効1電子ポテンシャルを定量的に再現できる。 2.キャリア涸渇層形成過程における表面でのキャリア電子状態の変化((半無限系) キャリア涸渇層が存在しない場合のキャリア密度プロファイルには,表面近くに顕著なピークが現れる。キャリア涸渇層が形成されていくと,このピークが次第に小さくなると同時に,表面でのキャリア密度の減衰距離が長くなっていき,最終的にはある一定のプロファイルに収束する。 なお,キャリア蓄積層の形成過程における表面でのキャリア電子状態の変化については,まだ計算が進行中である。また,次年度以降に電子励起の計算を行うための試行計算として,井戸形ポテンシャルに閉じ込められた電子気体の表面励起の計算を行い,微粒子電子励起の解析の中で比較対象として活用した。
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