1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640392
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上羽 牧夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30183213)
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Keywords | ステップ / 形態不安定化 / 結晶成長 / バンチング / ステップの蛇行 / 非線形発展方程式 / 成長指数 |
Research Abstract |
微斜面上のステップのパターン形成の問題,とくに結晶の成長や昇華にともなうステップの蛇行(ステップに沿ったゆらぎに対する不安定化)や,バンチング(等間隔ステップ列での疎密の形成による不安定化)の問題を中心に研究した.また直線的なステップ(=2次元結晶の表面)が成長とともに荒れてくる様子やその成長速度への結晶の格子構造の影響をみるためのモンテカルロ・シミュレーションを行った.そして以下の知見が得られた. 1.ステップの蛇行については,ステップに沿った方向の反転に対し系が対称な場合,非線形効果によって蔵本-Sivashinsky方程式で記述される時空カオス的パターンが出現する.しかしステップに沿ったドリフトがあって反転対称性が破れるとステップの運動は奇数階の微分を含むBenney方程式で記述できるようになり,この対称性の破れが大きいときにはカオスが抑制されて安定な周期構造が期待できる.このことは,モンテカルロ・シミュレーションでも確認した. 2.Si(111)面などでの表面吸着原子のドリフトによるバンチングでは,不安定点の近くでの時間発展はBenney方程式で記述され,密度ゆらぎは安定なソリトン列となることが期待される.これに対し,非平衡度の高い保存系での1次元モデルのシミュレーションによって,ステップの束の大きさが時間の平方根に比例して大きくなることを見出した.また,これを理論的に説明することに成功した. 3.面の成長速度は,結晶格子構造を反映して,結晶の方位よって異なる過飽和度依存性をもつ.2次元正方結晶では,成長の遅いときは(11)方向に伸びていた成長形が,成長が速くなると(10)方向にわずかに伸びた形に変化する.また結晶の異方性に反映して界面のゆらぎ幅の時間発展の冪が複雑な変化をする.
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[Publications] M.Uwaha: "Anisotropy Effect on the Flow-Induced Instability of the Solid-Superfluid Interface" Journal of Low Temperature Physics.111 no.1/2. (1998)
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[Publications] M.Uwaha and M.Sato: "Wandering and Bunching Instabilities of Stepe Described by Nonlinear Evolution Equations" Surface Review and Letters.5 no.3. (1998)