1997 Fiscal Year Annual Research Report
半導体における励起子ポラリトン相互作用と励起子分子生成機構の研究
Project/Area Number |
09640394
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 哲介 京都大学, 総合人間学部, 教授 (80026799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦田 昌明 京都大学, 理学部, 助手 (60240818)
渡邊 雅之 京都大学, 総合人間学部, 助手 (20240525)
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Keywords | 半導体 / 励起子 / 励起子分子 / ポラリトン |
Research Abstract |
本研究は、PbI_2,CuCl等の半導体結晶を用い、励起子ポラリトンの緩和時間やポラリトン間のコヒーレントな相互作用が、励起子分子生成効率に及ぼす効果を調べ、励起子間相互作用を支配している量子過程を明らかにすることを目的としたものである。今年度に得られた成果の概要は以下の通りである。 1.励起子ポラリトンの寿命の測定 励起ポラリトンの相互作用を調べる予備的な知見として、バルクPbI_2結晶における励起子ポラリトンの寿命を測定した。励起子ポラリトン発光の減衰曲線を、結晶表面から内部へのポラリトンの拡散を考慮して解析することにより、エネルギー分布した励起子ポラリトンの寿命が精密に求められた。その寿命は100ps程度と短いにも関わらず、緩和による熱分布を反映していることが明らかになった。 2.偏光選択励起による励起子分子発光の測定 励起子ポラリトンの相互作用による励起子分子生成において、ポラリトン間のコヒーレントな相互作用とインコヒーレントな衝突による寄与を分離観測することを目的として、偏光選択励起による励起子分子発光の励起スペクトルを測定した。励起子分子2光子共鳴遷移はポラリトンのコヒーレントな相互作用であり、円偏光励起では分子は生成されない。しかしPbI_2の励起スペクトルでは、円偏光励起でも相当量の分子発光が観測された。PbI_2のように励起子分子束縛エネルギーが小さい場合には、励起共鳴の低エネルギー側でも散乱を受けたポラリトンのインコヒーレントな相互作用による分子生成が高い効率で起こることが判った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 渡邊 雅之: "PbI_2における励起子分子2光子共鳴域の四光波混合スペクトル" 日本物理学会講演概要集. 52・2. 254- (1997)
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[Publications] 渡邊 雅之: "PbI_2の励起子共鳴域における四光波混合スペクトルの時間応答" 光物性研究会'97論文集. 1. 25-28 (1997)
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[Publications] 牧野 哲征: "PbI_2における励起子分子発光の励起スペクトル" 光物性研究会'97論文集. 1. 177-180 (1997)
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[Publications] T.Makino: "Time-resolved luminescence of exciton polartions in PbI_2" Phys.Rev.B. 57・7. 3714-3717 (1998)
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[Publications] T.Tsujibayashi: "Time-Resolved Study of Free Exciton Luminescence in KI and RbI" Solid State Commun.105・11. 681-684 (1998)
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[Publications] T.Makino: "Two photon resonance spectra of biexcitons in PbI_2" J.Luminescence. 76-77(印刷中). (1998)