1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640400
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
中西 俊介 香川大学, 工学部, 助教授 (30155767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 寛 香川大学, 工学部, 教授 (60112249)
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Keywords | 誘電体 / フォノン / フェムト秒分光 |
Research Abstract |
我々が当初フォノンを観測していると考えていたNdGaO_3結晶の585nmにおける四光波混合(FWM)の変調信号は、低温での詳しい吸収測定の結果から判断して、複数の吸収線間の量子ビ-トであると理解すべきであると考えられる。その信号波形は、NdGaO_3結晶の吸収線が低温で均一に拡がっていることを示しており興味深いが、この科研費の研究課題と異なるので、研究対象をSrTiO_3,BaTiO_3結晶でのラマン励起的なフォノン生成に絞って行った。今年度前半は、レーザー系が不調であったが、後半に入り回復したので以下のような研究を行った。 (1)チタンサファイア再生増幅器の調整を行い、パルス幅120fs、出力800μw/pulseの出力光を安定に得られるようにした。 (2)チタンサファイア再生増幅器の出力を、2本の励起光(波数ベクトルk_1,k_2)と1本のprobe光(波数ベクトルk_3)に分け、BOXCAR配置で試料を励起、観測するように光遅延系を整備した。時間遅延は1fsの精度で行える。 (2)BOXCAR配置でSrTiO_3結晶を励起したとき、励起光とprobe光の遅延時間が零の時に、probe光のk_3-(k_1-k_2)方向への強い回折を観測した。これは主に励起光によってSrTiO_3結晶の電子状態に作られた回折格子による散乱であるが、probe光の遅延時間を変化させて散乱光の変化を測定すれば、ラマン的に励起されたコヒーレントフォノンによる回折光の変調が観測されるはずである。現在のところ、まだフォノン生成による散乱の効果は検出していないが、励起光の強度、偏向状態の適正化を行えば検出できると考えている。 既に研究例のあるBaTiO_3結晶で予備実験を行う予定であったが、良質のBaTiO_3結晶の入手に時間がかかり、まだ行えていない。BaTiO_3結晶は今年度末に納入される予定である。今後、整備したレーザー系を用いて、BaTiO_3,NdGaO_3結晶でもラマン励起によるフォノン生成の観測を行っていく予定である。
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