1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
澤田 信一 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (80253904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 龍蔵 鹿児島大学, 工学部, 助手 (50274858)
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Keywords | ポーラスシリコン / 光ルミネセンス / 拡散律速擬集モデル / 量子パーコレーション / フラクタル |
Research Abstract |
(1)拡散律速凝集(LDA)モデル ポーラスシリコンの生成過程のモデルとして、拡散律速凝集(LDA)モデルを用い、生成された幾何学的構造を、以前に我々の提案した量子スポンジモデルの一種と考え、光物性に関係する物理量の計算を行った。すなわち、まずこのモデルの電子状態を求め、次に電子・正孔密度の時間発展方程式を解くことにより、光ルミネセンスの減衰特性を調べた。その結果、このモデルの不規則構造による波動関数の局在化がバンドギャップの広がりをもたらすこと、およびルミネセンスが、拡張指数関数型の減衰特性を示すという点で、実験における観測結果とよく一致することが示された。 (2)量子パーコレーション問題してのポーラスシリコン ポーラスシリコン問題は量子パーコレーションと深い関わりがあり、後者において波動関数がどのような性格をもっているかが、ポーラスシリコンを理解する上で重要である。このため、s・pバンドの場合を調べる前の段階として、sバンドのみの正方格子および立方格子について、完全格子からランダムに原子を抜き取って出来た構造の電子状態を計算した。その結果、まず2次元正方格子においては、移動度端よりも低いエネルギー領域では、波動関数が指数関数的に減衰し、それ以上のエネルギー領域では、中心付近はべき的に、裾の方では指数関数的に減衰することが分かった。次に、3次元立方格子では、移動度端よりも低いエネルギー領域では、2次元と同様であるが、それ以上では、波動関数はやはり中心付近はべき的に減衰し、そのべきが2よりも小さい場合は、裾の方では指数関数的に減衰するが、べきが2よりも大きい場合は、裾の方でもべき的に減衰することが分かった。ただし、ここでいう減衰は、正確には電子密度の相関の減衰についてであり、特にべき的減衰は、波動関数がフラクタル次元を持つことを意味する。
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