1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640403
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
澤田 信一 関西学院大学, 理学部, 教授 (80253904)
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Keywords | ポーラスシリコン / 光ルミネセンス / LDAモデル / 量子パーコレーション / フラクタル |
Research Abstract |
(1) 光ルミネセンスの減衰特性 前年度に引き続き、ポーラスシリコンのモデルとして、拡散律速凝集(LDA)モデルを用い、生成された幾何学的構造の光物性に関係する物理量の計算を行った。結果によれば、ルミネセンスは拡張指数関数型の減衰特性を示すが、減衰定数は温度に関係なく低波長側で大きくなる。一方、以前に計算した量子スポンジモデルの結果では、減衰定数は低温では波長に依存しない。これらの異なる結果に対応して、それぞれに一致する別々の実験結果が存在する。したがって、減衰定数の温度依存性は、不規則構造の種類によって異なると考えられる。 (2) 波動関数のフラクタル性 ポーラスシリコンの問題は量子パーコレーションの問題と深い関わりがあり、波動関数がどのような性格をもっているかが、ポーラスシリコンを理解する上で重要であると考えられる。前年度はsバンド正方格子および立方格子について、スポンジ構造の電子状態を計算し、波動関数がフラクタル次元を持つことを示した。今年度は、ポーラスシリコンの量子スポンジモデルについて同様の計算を行った。その結果、移動度端よりも低いエネルギー領域では、波動関数は指数関数的に減衰するが、それ以上のエネルギー領域ではべき的に減衰し、フラクタル次元を持つことをが示された。 (3) 交流電気伝導度 ポーラスシリコンの交流電気伝導度の実験結果は、周波数に対してべき依存性を示し、低周波数においてはそのべきは0.5である。これを波動関数のフラクタル性と関連づけるため、量子スポンジモデルの交流電気伝導度を計算した。しかし、これまでの計算では、期待されるような結果が十分は得られておらず、これを明らかにすることは今後の課題である。
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