1997 Fiscal Year Annual Research Report
GaAs/AlAsタイプ-II超格子における高密度励起状態に関する研究
Project/Area Number |
09640404
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中山 正昭 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (30172480)
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Keywords | GaAs / AlAs / 超格子 / タイプ-II / 励起子分子 / 高密度励起状態 / 発光 |
Research Abstract |
本研究の目的は、電子と正孔が空間分離されたGaAs/AlAsタイプ-II超格子における(1)励起子分子形成と、(2)さらなる高密度励起状態の存在を明らかにすることである。本年度は、励起子分子形成を中心に研究を行った。多様な構造の(GaAs)_m/(AlAs)_nタイプ-II超格子[(m,n)=(10,10),(12,12),(13,13),(10,14),(10,20)原子層]における励起子分子発光を観測し、その発光形状解析から励起子分子束縛エネルギーを求めた。その結果を以下に要約する。(1)GaAs層とAlAs層の層厚が等しい超格子では、層厚が薄くなるに従って束縛エネルギーは増加する[(13,13)超格子で3.1meV、(10,10)超格子で3.5meV]。このことは、励起子分子に対する量子閉じ込め効果を反映している。(2)GaAs層厚が10原子層でAlAs層厚が10,14,20原子層の試料では、AlAs層厚が厚くなるにしたがって束縛エネルギーは低下する[(10,10)超格子で3.5meV,(10,20)超格子で2.5meV]。このことは、電子・正孔の空間分離の増大によって励起子分子が不安定化することを示している。さらに、時間分解発光スペクトルの測定から、励起子分子の生成・消滅過程の測定を行っており、励起子-励起子衝突による励起子分子形成の動的過程に関する結果が得られている。 励起子分子からさらなる高密度励起状態への移行については、模索段階であるが、数種類のタイプ-II超格子おいて、励起強度に対してしきい値特性を有する発光バンドが出現することを確認している。このことは、何らかの高密度励起状態の相転移が生じていることを示唆している。
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Research Products
(1 results)