1998 Fiscal Year Annual Research Report
融解曲線上における高圧氷Ihの平衡形とプリズム面のラフニング転移
Project/Area Number |
09640405
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
丸山 稔 大阪市立大学, 理学部, 講師 (60117976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢田 勉 科学技術庁無機材質研究所, 主任研究官
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Keywords | 氷結晶 / ラフニング転移 / 融解曲線 |
Research Abstract |
高圧力下にある氷I/水の系において、氷結晶の成長形と平衡形を融解曲線に沿って調べてきた。 その結果、系を加圧して融点を下げたとき、約1600bar,-16℃で氷の外形は円盤状から六角板状に変化することを明らかにした。これはc軸に平行な結晶面は等方的な荒れた構造から、異方性の強い構造に変化したことを表し、プリズム面のラフニング転移が生じたことを示す。今年度は系の温度をパラメータにして、氷が成長も融解もしない、一定のサイズを保持する平衡圧力を測定した結果、氷/水共存曲線(P-T融解曲線)上に不連続点が存在し、これが約-16℃に相当しラフニング点の値とよく一致していることを見出した。 融点の圧力変化についてはかなり慎重に測定を行った。不連続点の近くでは細心の注意をはらった。その結果、-16℃での小さな圧力ジャンプの存在、および全体が1本の曲線というより不連続点を境に2本の曲線からなるらしいことが分かった。しかし融解曲線の不連続性とラフニング転移を関係づけるのは理論的にむずかしい。氷/水界面のラフニング転移は2次の相転移であり、潜熱を伴わないために融解曲線には影響を与えないはずである。界面ではなく、バルクの水や氷における何らかの相転移に関係している可能性もある。この問題は今後更にデータを集積し、解析、検討を行う必要がある。
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