1997 Fiscal Year Annual Research Report
ラマン分光法による水素結合型強誘電体の相転移機構の研究
Project/Area Number |
09640409
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
大野 宣人 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (20194251)
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Keywords | ラマン分光法 / 水素結合型強誘電体 / 強誘電相転移 |
Research Abstract |
本年度は、PbHPO_4(LHP)とその同型物質であるPbHAsO_4(LHA)の単結晶を作成し、通常のラマン分光、顕微ラマン分光を行い、さらに反射、吸収の光学スペクトルの温度依存性の測定を詳細に行った。得られた結果を以下にまとめる。 1.LHPのラマン分光については申請者等によりこれまで詳細に調べられている。本研究では、LHAのラマンスペクトルを初めて測定することに成功し、これらの結果をLHPの結果と比較し、検討を行った。その結果、LHAにも10Kで72.2cm^<-1>にソフト化するモードが観測されたこと、その温度依存性はLHPのそれに比べても緩やかであることがわかった。さらに、観測されたラマン線のモード同定についても、偏光実験などによりこれを行うことができた。これらの研究成果については、1997年8月に韓国ソウルで開催された第9回強誘電体国際会議において発表した。 2.LHPとLHAの基礎吸収領域の反射、吸収スペクトルの温度依存性を行った。低温における基礎吸収の立ち上がりはそれぞれ5.1eVと4.6eVにあり、さらに反射スペクトルにはそれぞれ5.7eVと5.3eVに顕著な励起子構造が観測されることを初めて明らかにした。これらの光学スペクトルの温度依存性を詳しく調べ、自発分極のそれと比較し検討を行った。これらの研究成果については、1997年11月に大阪で開催された光物性研究会'97で発表するとともに、この4月に開催の物理学会でも報告する予定である。さらに、本年8月のLos Angelesで開催の第12回VUV国際会議、スイスMontreuxで開かれる第11回ISAFと第4回ECAPDの合同国際会議にも発表を予定している。
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[Publications] N.OHNO, DJ.LOCKWOOD, K.DEGUCHI: "Lattice and Soft Mode Raman Spectrum of PbHAsO_4" Proc. 9th International Meeting of Ferroelectrics. (印刷中).
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[Publications] K.Kida, N.OHNO, DJ.LOCKWOOD: "Optical Study on the Structural Phase Transition in PbHPO_4 and PbHAsO_4" 光物性研究会論文集. 1997. 113-116 (1997)