1998 Fiscal Year Annual Research Report
ラマン分光法による水素結合型強誘電体の相転移の研究
Project/Area Number |
09640409
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
大野 宣人 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (20194251)
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Keywords | 強誘電性相転移 / 水素結合型強誘電体 / ラマン分光 / 光学応答 |
Research Abstract |
完成年度である本年度では、強誘電体PbHPO_4(LHP)とその同型物質であるPbHAsO_4(LHA)単結晶のラマン分光および顕微ラマン分光を行い、さらにこれらの反射、吸収、発光などの光学スペクトルの温度依存性の測定を詳細に行った。得られた結果を以下にまとめる。 1. LHPのラマン分光については申請者等によりこれまで詳細に調べられている。本研究では、LHAのラマンスベクトルを初めて測定することに成功し、これらの温度依存性の詳細な測定をおこなった。これらの結果をLHPの結果と比較し、検討を行った結果、LHAにも10Kで720m^<-1>にソフト化するモードが観測されること、その温度依存性はLHPのそれに比べて緩やかであることがわかった。さらに、観測されたラマン線のモード同定についても、偏光実験などによりこれを行うことができた。これらの研究成果については、J.Korean Phys.Soc.誌に発表し、さらに現在J.Chem.Phys.にも投稿準備中である。 2. LHPとLHAの基礎吸収領域の偏光反射、吸収、発光、励起の各スペクトルを詳細に測定し,その光学的性質および電子構造について考察した。その結果をまとめると、LHPとLHAの基礎吸収は低温でそれぞれ5.1eVと4,6eVにあること、吸収端はアーバック則がよく成り立つこと、反射スペクトルの測定にはそれぞれ5.7eVと5.3eVに偏光特性の著しい顕著な励起子構造が観測されることがわかった。得られた吸収端のスティープネス係数は低温から約180Kまで単調に増大するが、そののち減少し相転移温度以上では一定となるという特異な振る舞いを示すことがわかった。さらに,このスティープネス係数の異常な振る舞いは自発分極の温度依存性と密接な関係があることもわかった.これらの研究成果についてはJ.Electron Spectrosc.Relat.Phenom誌およびFerroelectrics誌に投稿し、いずれもこの4月に掲載予定である。
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[Publications] N.OHNO: "Lattice and Soft Mode Raman Spectrum of PbHAsO_4" J.Korean Phys.Soc.32. S548-S551 (1998)
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[Publications] N.KIDA: "Excitons in Hydrogen-Bonded PbHPO_4 and PbHAsO_4" 光物性研究会論文集. 1998. 197-200 (1998)
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[Publications] N.KIDA: "VUV Optical Spectra of Hydrogen-Bonded Ferroelectrics PbHPO_4 and PbHAsO_4" J.Electron Spectrosc.Related Phenom.(in press). (1999)
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[Publications] N.OHNO: "Ferroelectrics" Optical Study on the Ferroelectric Transition in PbHPO_4. (in press). (1999)
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[Publications] N.KIDA: "Reflection Spectra of Hydrogen- Bonded Ferroelectrics PbHPO_4 and PbHAsO_4" UVSOR Activity Report. 1998(in press). (1999)