1998 Fiscal Year Annual Research Report
スピン液体から磁気秩序相への量子相転移の理論的研究
Project/Area Number |
09640417
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
常次 宏一 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (80197748)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 尚和 筑波大学, 物理工学系, 助手 (40302385)
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Keywords | スピン液体 / スピンギャップ / 反強磁性相関 / 近藤格子 / 量子相転移 / 密度行列繰り込み群 |
Research Abstract |
今年度は、1次元近藤格子にhalf fillingからホールをドープすることによっておこる、スピン液体状態と常磁性状態の転移を調べた。1次元の近藤格子はhalf fillingで絶縁体であって、しかもスピンギャップを持つ典型的な系であり有限のスピン相関長をもつ。これに、ホールをドープすると金属状態になると同時に、絶対零度でスピン相関長が発散する量子相転移を示す。量子臨界点の近傍のホール濃度および温度を変化させた時の臨界的な振る舞いを、有限温度密度行列繰り込み群の方法を用いて調べた。この方法は無限サイズの系の熱力学量を精密に計算でき、さらに局所的な動的相関関数を求めることができる利点をもっている。 比熱、帯磁率、電荷感受率の温度変化の計算結果より、ホールをドープしてスピン液体相が壊れて反強磁性的な準長距離秩序が発達しているときにも、half fillingにおけるスピンギャップの値がクロスオーバーの温度スケールとして存続していることを見出した。このことによって、ドープされたホールが局所的な近藤シングレットを壊して、電荷とスピンの両方を担う新しい粒子を構成することがわかった。さらに低温側に、金属状態の基底状態であるラッティンジャー液体状態にクロスオーバーする第二の温度スケールが存在することを示した。また動的振る舞いを調べるために、動的スピン相関関数や1電子状態密度を計算した。その結果、スピンギャップに対応する、高温側のクロスオーバー温度以下で、half fillingの場合と似た擬ギャップが形成され始めるが、さらに低温になるに従って零エネルギー付近の低エネルギー励起の重みが急速に発達することを見出し、各温度領域における電子のダイナミックスがどのように変化していくかを定量的に明らかにした。。
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[Publications] N.Shibata and H.Tsunetsugu: "Thermodynamics of Doped Kondo Insulator in One Dimension -Finite-Temperature DMRG Study" Journal of Physical Society of Japan. 68・3(印刷中). (1999)
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[Publications] H.Tsunetsugu and M.Imada: "Dynamic Exponent of t-J and t-J-W Model" Journal of Physical Society of Japan. 67. 1864-1867 (1998)
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[Publications] M.Mutou,N.Shibata and K.Ueda: "Temperature-induced gap formation in dynamic correlation functions of the one-dimensional Kondo insulator" Physical Review Letters. 81. 4939-4942 (1998)
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[Publications] N.Shibata and K.Ueda: "One-dimensional Kondo lattice model studied by the devaity matrix renormalization group method" Journal of Physics : Condensed Matter. 11. 1-30 (1999)
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[Publications] S.Watanabe,Y.Kuramoto,T.Nishino,and N.Shibata: "Spin,Charge and Quasiparticle Gaps in the One-Dimensional Kond Lattice with f^2 Configuration" Journal of Physical Society of Japan. 68. 159-165 (1999)
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[Publications] T.Mutou,N.Shibata and K.Ueda: "Metal-insulator transition accompanied with a charge ordering on the one-dimensional t-J model" Physical Reviews B. 57. 13702-13705 (1998)