1998 Fiscal Year Annual Research Report
スピン基底1重項を持つ1次元ハイゼンベルグ反強磁性体の新しい不純物効果
Project/Area Number |
09640418
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 正行 千葉大学, 理学部, 助教授 (90176363)
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Keywords | スピン基底1重項 / 1次元反強磁性体 / 量子スピン系 / 不純物効果 / 電荷秩序 / NMR / スピン状態 |
Research Abstract |
平成9年度に引き続き,基底状態がスピン1重項を持つ1次元ハイゼンベルグ反強磁性体に非磁性不純物をドープした時に生じる新しいタイプの磁性を調べる為にCu_<1-x>Zn_xGeO_3の単結晶試料のNMRによる研究を継続した。Cu核の核スピン・格子緩和率の詳細な解析とNMRスペクトルの線幅の温度変化組成変化を,最近この系に対して理論的に計算されている結果と総合的に比較することによって,Cu_<1-x>Zn_xGeO_3系での不純物効果の議論を展開した。また,スピン基底1重項を持つ物質として取り上げたLaCoO_3とRCoO_3(R= Nd,Sm,Eu)の室温以上の高温の磁性をCo核のNMR測定から調べた。LaCoO_3では,約100Kでスピン1重項状態の低スピン状態から中間スピン状態と考えられる磁気扶態に転移するが,RCoO_3では,LaCoO_3と異なり,金属絶縁体転移を起こす約500K付近まで低スピン状態をとることを明らかにし,金属絶縁体転移の原因がスピン状態とは無関係であることを明らかにした。また,これと関連して,La_<2-x>Sr_xCoO_4はSr組成を増すとスピン転移をを起こすことを明らかにした。さらに、新しい1次元物質として,バナジウム・ブロンズと呼ばれる一連の物質群(A_xV_2O_5,A=Na,Ca,Ag,Cu)を取り上げた。この物質群の中で,β構造をとるAV_6O_<15>(A_<0.33>V_2O_5)は,V(1)サイトからなるジグザグ鎖,V(2)サイトからなるラダー,V(3)サイトからなるジグザグ鎖を持ち,1次元量子スピン系として特異な物性を持つことが期待される。中でも,AV_6O_<15>では,V^<4+>サイトとV^<5+>サイトの電荷の分離が低温で生じる電荷秩序を一般的に起こすことを初めて見出した点は著しい成果である。絶縁体であるにもかかわらず高温での単電荷的な振る舞いの原因,さらに,電荷秩序を起こした後の電荷秩序の形成が連続的に起きている可能性などの観点から1次元量子スピン系としての新しい物理を含んでいることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Itoh: "NMR Study of the spin stute and magnetic properties of La_<2-x>Fr_xCoO_4" Physica B. (印刷中).
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[Publications] M.Itoh: "NMR study of the Spin state of RCoO_3(R=Pr,Nd,Sm,and Eu)" Physica B. (印刷中).