1998 Fiscal Year Annual Research Report
電流及びスピン密度汎関数法に基づく相対論的バンド理論の構築とf電子系への適用
Project/Area Number |
09640424
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長谷川 彰 新潟大学, 理学部, 教授 (40004329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家富 洋 新潟大学, 理学部, 助教授 (20168090)
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Keywords | 相対論的電流スピン密度汎関数理論 / 一電子方程式 / 軌道電流 / スピン分極 / スピン軌道相互作用 / 希土類3価イオン / ウラン化合物 / フェルミ面 |
Research Abstract |
従来の固体電子論、特に電子エネルギーバンド理論においては、電子の軌道運動の影響は無視されてきた。このような近似は、固体内の電子状態が自由電子に近い状態にあるときには許されるが、希土類化合物やアクチニド化合物におけるf電子のように、局在に近い状態にある電子の軌道角運動量は決して小さくはない。本研究はf電子系の電子構造に対する軌道電流の影響を調べることを目的とし、昨年度からの成果として、電磁場の中におがれた相互作用する電子系に対する半古典的な量子電磁力学のハミルトニアンから出発し、相対論的電流スピン密度汎関数理論を構築することに成功した。この結果は、電子構造に対する軌道電流の影響を調べる上での出発点になるものである。この新しい理論の枠組の中では、基底状態および基底状態エネルギーは電荷密度と磁気密度により一意的に決まる。一般化されたHohenberg-Kohn定理が成立することを示すことができる。変分原理に基づき、これらの基本変数に関して基底状態エネルギーを最小化することにより、新しい一電子方程式を導いた。その有効性を確かめるために、孤立した希土類3価イオンの電子状態の計算に適用した。スピン磁気モーメントと軌道角運動量磁気モーメントはHund則をよく再現する。 従来の相対論的APW法により、ウラン化合物UCの電子構造の再検討を試みた。これまでのバンド計算では、化合物におけるAPW球の半径の選び方に指針はなかったが、この新しいバンド計算では、与えられた格子定数に対してUとCのAPW球の半径を全エネルギーが最小になるという条件から決定し、さらに格子定数を変えて全エネルギーが最小となる値を求めた。このようにして決定された電子エネルギーバンド構造から導かれた電子及びホールのフェルミ面は実験結果よりも少し大きいが、この不一致は局所密度近似に特有な性質である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Higuchi: "Atomic Structures of Rare-Earths and Actinides via Relativistic Current- and Spin-Density Functional Theory," J.Magn.& Magn.Mater.177-181. 439-440 (1998)
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[Publications] T.Maehira: "The Electronic Structure and the Fermi Surface of α-Ce" The Review of High Pressure Sci.and Tech.6. 617-619 (1998)
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[Publications] M.Higuchi: "Atomic Structure Based on a Relativistic Current- and Spin-Density Functional Theory" The Review of High Pressure Sci.and Tech.7. 190-192 (1998)
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[Publications] T.Maehira: "Origin of the Frequency Branch γ of the de Haas-van Alphen Effect in CeSn3" J.Magn.& Magn.Mater.177-181. 381-382 (1998)
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[Publications] M.Higuchi: "Single-Particle Equation of Relativistic Current-and Spin-Density-Functional Theory and its Application to the Atomic Structure of the Lanthanide Series," J.Phys.Soc.Jpn.67・6. 2037-2047 (1998)
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[Publications] T.Maehira: "The Fermi surface of 5f-electron compounds" J.Phys.:Condens.Matter. 10. 11565-11570 (1998)