1998 Fiscal Year Annual Research Report
一次元電気伝導体における超伝導とインターカレーション
Project/Area Number |
09640426
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石原 裕 金沢大学, 理学部, 教授 (10019474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 浩 金沢大学, 理学部, 助手 (40272942)
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Keywords | 一次元伝導体 / 超伝導 / 上部臨界磁場 / コヒーレンス / インターカレーション / 遷移金属化合物 |
Research Abstract |
本研究で議論されている物質は一次元の強い超伝導体である.この物質(六方晶系)はc軸方向に沿って,金属的な結合をしたNbの鎖の集合から成っている.Te原子はNbの鎖に絡まるように鎖を取り囲み、互いに隔てている.また、結晶内には半径約1.4Aの空洞がc軸に沿って存在している.この空洞に水銀などを挿入した新しい物質A_xNb_3Te_4(A=Hg,Cdなど)を作成し,特にHg_xNb_3Te_4について,比熱,上部臨界磁場の温度依存性などの測定を行い,超伝導特性,格子比熱等について研究を行った.得られた成果の主なものは次の通りである. Hg_xNb_3Te_4ついて,通常の超伝導体で見られる超伝導転移に伴う比熱の増加は認められるが,急激な増加,即ち比熱に“とび"はあらわれないことを見い出した.この比熱の増加は温度を下げるに従って大きくなることをおよび水銀添加量を増すに従って大きくなることを見い出した. 格子比熱に対しては通常のDebyeモデルだけでは説明できず,結晶構造の異方性の考察から,一次元格子に基づくTarasovモデルをとりいれたモデルを用いて定量的に説明することが可能である.比熱にとびがあらわれない原因については,超伝導は繊維状に出現している可能性があり,そのような超伝導の出現は,結晶構造の異方性によって生じる上記の格子比熱に対するモデルと定性的によく一致する. 上部臨界磁場の異方性から求めた超伝導特性を表わすコヒーレンスの長さはHgの濃度約x=0.3を境にして顕著な変化を示すことを見い出した.既に得られているHg_xNb_3Te_4の熱電能の結果も考慮して,約x≦0.3の濃度領域では電子,x>0.3では正孔が超伝導に寄与していることを明らかにした.
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